テーマ『すごい気配り』
『焼肉』
「次は、何を焼こうか?」
「私のお世話かな」
『眼鏡』
「ねぇ、見て、うちのワンコ達、茶色の子の名前は"ミルク"、真っ白い子の方が"チョコ"ね、かわいいでしょー」
うわっ、すっごい期待の眼差しで、何か言ってほしそうにしてるなぁ。ブンブンふってる、みっつめのしっぽが見えてきたよ。
しょうがない。
「黒ブチの子が、とびっきり可愛いね」
『荷造り』
「仕送りする荷物はこれ?」
「そう」
「うわあ、こんなにガチガチに梱包しちゃったの?」
「大丈夫、開けるためのハサミも一緒に送るから」
『親子のメール』
「たまには、お父さんにメールでもしてあげてって、お母さんに言われたのだけれど、こういうの、なんて書いて送ったらいいのか、かえってわかんなくない?」
「そうだねぇ、私なんかは、父さんが相手だと天気の話になっちゃうなあ、こちらはあいにくの雨模様です、そちらはどうですか?、みたいな」
「あー、天気かあ、そうなっちゃうのもわかる気がするよ、でもまあ、メールが届くだけで嬉しいと思うし、返事にも困らなくて済むだろうから、うん、ありかもね」
「あ、ちがくて、これ、父さんからの返事」
"本日快晴なれど波高し"
「父さん、客船に乗ってるから」
『好物』
「ありがたい話なんだけどね、母さんに好きなものを言ったら、そればっかりになってさ」
「もっといっぱい好きなものを話してあげろ」
『皿洗い』
「何を買ったの?」
「ゴム手ぶくろだよ、お母さんが冬は水が冷たくて洗い物が大変だって言ってたでしょ?」
「あら、お母さんにくれるの?」
「これは、ボクの」
『相談にのるよ』
悩みごとなら聞くよって、言いたいけれど、私なんかがおこがましいし、えっと、えっと。
「もしも、思い、あまっていたら、私にもわけてほしいな」
『宝物』
「あなたは、私の大切な宝物、財宝、えっと、多分、お財布的な何かなのよ」
「あはは、ありがとう、気持ち、軽くなった気がするよ」
『黙っていられない』
「君が何かを我慢している顔をしている、その理由が知りたいんだ」
「くしゃみだよ、笑うなあ!」
『忘却』
「嫌なことは、忘れてしまった方がいいよ」
「はい、えっと、どちら様ですか?」
「おい待てっ!」




