テーマ『落としもの』
「あっ、待ってください」
「えー、2枚、落としましたよ」
タイトル『将棋』
『落とし物』
「どこからか音していて、びっくりしましたよ、携帯の」
「すみません、そこは、どこですか?」
「ホテルのロビーです、フロントにあずけておきますね」
「ありがとうございます、直ぐに取りに行きます」
『僕の大好きなカスタネット』
「え、えっと・・・」
じーっ、と見つめられ、無言の圧力を感じる。
「おとしちゃったけれど、壊れてないから。」
胡乱気な視線に耐えかね、とっさの釈明を試みた。
「楽器だけに!」
はうっ、効果がない。
「ほらほら、鳴るよー」
うんたん、うんたん、してみせる。
「壊れて出ないのは、”どの音”だった?」
なんちゃって、てへへ。
とか、悪戯っぽい笑顔で乗り切れるか・・・
「そんなんじゃ、ごまかされないからね!」
ダメでした。
「音階が全部出せてる事の方が、おかしいから!」
パキャラマド、パキャラマド、パオパオパ
『タクシー』
「お客さん、どちらまで」
「近くの交番まで」
「何か事件ですか?」
「道でタクシーを拾ったので、届けようと思って」
「駅なら、駅って言ってください」
「お客さん、どちらまで」
「僕の勤め先まで」
「それは、どこですか?」
「就活、もうつかれちゃって」
「できる事なら、送ってあげたいですけどね」
「とりあえず、今晩の宿代が無いので、どこか泊まれるところまで」
「それ、タクシー代も無いですよね」
「前の車につけてください」
「お客さん、大丈夫、なんか才能はあると思いますよ」
『金の斧、銀の斧』
「あなたが誤って落としたのは、私の作業中のパソコンの電源ですか、それと、命ですか。」
「それともの”も”がありませんよ!」
「正直におっしゃい、むしろご褒美でしょう?」
「いやあああ、たすけてー!!」




