テーマ『予感』
わかってた。
きっと、こうなる予感がしていた。
「あれ、あれ、どうしよう・・・」
パタパタとあちこちポケットを確かめて。
「うちの鍵がないよ!」
かわいそうなくらい焦ってる。
「大丈夫」
僕は、笑う。
「こんなことになるんじゃないかと思って、あらかじめ手は打ってあるから」
胸のポケットから鍵をつまんで、そっと取り出す。
「預かってた」
「きさまが犯人かあ!!」
『対義語』
「こたつの対義語は、わかる?」
「え、なにかな?」
「一話完結の短編集」
「なんで?」
「みかんはのせないから」
「若干、苦しいかも」
「じゃあね、ストーブの対義語は?」
「んー、なに?」
「午後2時が最終便の遊覧船」
「あーうん、一応、どうして?」
「やかんはのせないから」
「そんな予感はしてた」
『危険な予感』
「サンドバッグ、がっ!」
「プレゼント、って!」
「どういう意味よっ!!」
ドスっ、ドスっと、ねーちゃんが快音を響かせている。
「あー、届けてくれた時、すぐに役立つと言ってたなあ」
『危険な予感 (おまけ)』
「ねーちゃん、もう一つあるけれど、こっちはどうする?」
「プロテインとかいらないからね」
「なんで分かったの」
「次に、あったら覚えてなさい!」
「遠くへにげてー!」
※この話は、以前『もしも桃太郎のおばあさんがきび団子を知らなかったら』というお題で書いたものです。
『もしも桃太郎のおばあさんがきび団子を知らなかったら』
「桃太郎や、良く聞くのです」
「はい、おばあさん」
「今まで黙っていましたが、あなたの出生には秘密があります」
ついにこの日が来てしまった。
桃太郎には、こうなる予感がありました。
「あなたは、私達の本当の孫ではありません」
「はい」
既に覚悟はできています。
「あなたには双子の兄がいます」
「えっ?」
「大目付、松平備前守様の弟、松平鶴次郎こそ、あなたの本当の名前です」
「なっ!」
面食らう桃太郎をよそに、おじいさんは突如立ち上がると、懐から般若の面を取り出すや薄絹をかざして、くるくると回り始めたではありませんか。
どこからか鼓の音まで聞こえてきます。
ぽん、ぽん、ぽんぽんぽんぽん♪
「ひとつ、人の世で生き血をすすり、ふたつ、不埒な悪行三昧、みっつ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎!」
「桃太郎や、今の口上をしかと覚えるのです」
「ちょっと待ってください、おばあさん、えっ、きび団子は?」
「はて、きび団子とは何ですか?」
『お昼休み』
今日は、天気も良いし風も穏やか。
こんな日には、お弁当は外で、かな。
人目を避けるには、うーん。
こっちの予感。
ほらね。
「やっぱり、いた、一緒に食べよ」




