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テーマ『バラと万年筆』
「えっ、そんな字も書けないの?」
「いや今時、直筆の手紙を書かせようっていう方がいけないんだよ」
「だって折角プレゼントした万年筆だもの、最初に綴られるのは、私への感謝の気持ちをしたためた手紙であるべきよね」
「渡す当人に見守られながら書くって、どんな罰ゲームだよ」
「あら、酷いことを言うのね、その万年筆、結構良い物なのよ」
「確かに、握り心地は悪くない、手になじむって言うか、フィット感が良いね」
「なら、感謝の気持ちを示してもらわないとね、心を込めた手紙に、薔薇の花を添えて渡してね」
「ほぉ、そんな柄でも無い事を僕にしてほしかったの?」
「それだけじゃないわ、その薔薇の花を持って校門の前で待っていてほしいの、2時間くらい」
「僕を社会的に抹殺しようとするのはやめて下さい」
「私は、ただ、君がどう思っているのかってことを知りたいの」
「えっ?」
「薔薇の握り心地とか、フィット感とか」
「だから、何の罰ゲームだよ!」




