テーマ『質問があります!』その1
『パンドラの箱』
「これが、この世の災いを封じ込めたというパンドラの箱・・・」
「ああ、そうだ」
「恐ろしいですね、蓋との隙間から漏れたりしませんか?」
「大丈夫、僅かな隙間も存在しないよ」
「もしもですよ、開けてしまったら、世界は一体どうなってしまうのでしょう」
「心配しなくても、絶対に開かないように、瞬間接着剤でガチガチにくっつけてあるから」
「ええっ、本当ですか?」
「安心したかい?」
「質問があります!」
「なんだい?」
「どうやって、蓋に接着剤を塗ったのですか?」
『おやつはバナナに入りますか?』
「質問があります!」
「却下します」
『質問があります!』
謎の液体が差し出される。立ちのぼる煙で目が痛いのだけれど、これは一体・・・
「飲み込んでください」
「質問が――」
「飲み込んでください」
『赤いニシンがおぼれる』
「このケーキの空き箱に残るドライアイス、これこそが、消えた凶器の謎の答えだ!」
「ここはクルーザーの船室で、海のど真ん中ですよ、氷の凶器を使う意味がどこにあるんですか?」
「なるほど、海に投げ込んでしまえば良いという・・・、待てよ、これはいわゆるクローズドサークルという奴じゃないか」
「ええ、疑いようもなく」
「つまり、犯人はこの中にいる!」
「それがダイイングメッセージで良いんですね?」
「きゃー」
「さて、質問があります」
「消えたケーキの箱の中身について、”もう一度”、答えてもらいましょうか?」




