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テーマ『名もなき花の話』
『小道具係の憂鬱』
台本に、”名もなき花”って書いてあるけれど、これって、どうしよ・・・
『名もなき花の話』
我輩は猫である。
でも、ニャーニャーとは泣かない。
しかして、その正体は、運搬用の手押し車なのです。
ともあれ、”猫”だなんて、言い回しが洒落ている。
そりゃまあ、確かに、建設現場に組まれた、高くて細い足場だとて渡ることが出来るし、なんなら、裏返った時のフォルムが、丸くなった猫っぽいとも言われておるけれども。
ほら、伏せると現れる三角の猫耳が、かわいかろ?
ドヤァ。
なーんて。
泥とほこりにまみれる、裏方の身上。
舞台から客席へと伸びる道を、脚光を浴びて歩む役は、違う誰か。
主役なんて、なれないけれど。
いつだって、人が為に重荷を背負って。
いざ、一輪で、おして参る!




