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テーマ『無人駅にて』その2
「おーい、こちらですよ。」
連絡橋を渡り、ほどほどに混んだ駅のホームに降りた私を、立ち上がって手を振り、先生が迎えてくれる。
かつては、この地球上で文明を築いていた人類の遺跡、その発掘現場へと向かう先生に、後学のためにと、私も同行させてもらえることになって、乗換の駅で待ち合わせていたのだ。
「君は、こちらにどうぞ。」
あいにくとベンチは空いていなくて、先刻まで先生が座っておられた席を譲られてしまう。
にっこり笑顔に促されるまま、ちょうど低くなった私の頭に、先生の手が伸ばされて…
「立たせたままにしておくのも、どうかと思いますから。」
そっとなでられた。
ちょっ、えっ、なにっ?
嘘っ、これってまさか、もしかして。
うわー、どっ、どうしよう。
みゃあ、みゃあ、みゃあー!
寝ぐせ、ついてたぁ!




