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テーマ『青の話』
「さっきまでの雨が嘘みたい、見て、きれい・・・」
「本当だ、虹がかかってる!」
「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な一歩である!」
「いや、それ、ガガーリンじゃないよ」
こんな風に、大地に手足を投げ出して、澄み渡る空を見上げるのなんて、いつ以来だろう。
乱れた吐息を静かに整えていると、さっきまで僕が担いでいたクーラーボックスに腰かけた姉さんが。
「情けないなあ、へばってないで、さっさとテントを張りなさい」
「ちょっ、あんたの血は何色だあ!」
「さあ、召し上がれ」
「学生の頃にも、手料理をふるまってくれたことあったよね」
「もう、やめてよ、恥ずかしいから、あれは、若気の至りってやつだから」
色どりも鮮やかに盛り付けられた一皿に、つい、若かりし頃を思い出す。
「あの時でも、これほどまでに青くはなかったよ!」
彼女の手料理を友人に振る舞ってみる。
「なあ、青色って、作るには、何と何を混ぜたらいいんだっけ?」
「とりあえず、燃やすのはどうかな」
「もう、二人で何を話してるの?」
「炎色反応について」
「燃やすのは、銅かな」です。
緑色っぽい青ですけどね。




