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テーマ『花』
アルラウネ。
人の姿をした植物の魔物。
地面から引き抜かれると悲鳴を上げ、聞いた人を発狂させるが、大切に扱えば、主人に幸運をもたらす、とも言われる、不思議植物だ。
でも、こうして見ると、その振る舞いは、人と何ら変わらない。
よいしょっ、よいしょ、と、運んできた、山盛りキャベツの千切りを、テーブルに、どん。
「マスター、朝食を作りました、食べてください。」
何やら台所で、トントン、ザック、ザック、音を立てていると思ったら、このために包丁を振るっていたものらしい。
「えっと、ありがとう、キャベツの千切り?」
「ふふふ、ただの千切りではありません。いくばくか、私の手が加わっているのです・・・、クスン。」
いや、それを食べさす気ですか・・・
貴重な存在ではあるのだけれど。
「頭の中、お花畑だからなあ。」
「えへへ、そんな、テレちゃいますね。」
彼女的には褒め言葉らしい。




