テーマ『夕暮れ自動販売機』
『夕暮れ自動販売機』
「なにを黄昏ているの?」
「・・・自販機に飲まれた」
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流石に、これだけだとちょっとと思いまして。
『夕暮れ自動販売機』
「ねぇ」
自販機から缶を取り出しながら。
「お客様、さあ、お手をどうぞ、って言う自販機、良くない?」
「売れる!」
「あらあらうふふ」
「じゃあ、冒険したくなる自販機」
「どんなの?」
「黒豆サイダーを売ってる」
「うっ確かに、あと、お姉様に蹴ってほしいのがわかった」
「甘さを選べるのは?」
「あるし」
「缶の販売機だよ」
「控え目だと?」
「あなたのためじゃないんだからねって言う」
「そっちか!」
「甘いのは三回押さないとダメ」
「なんで塩対応なの」
「いやん、いやん、もうっ!って言う」
「あほか!じゃ、砂糖抜き」
「お前はもう死んでいる」
「古っ!」
「しかもメントス入りダイエットコーラ一択、開けたが最後」
「ひでぶ!」
「あと優しく声をかけてくれる、朝は、おはよう」
「夕方は?」
「お帰りなさい、ご主人様」
そんな二人を自販機は見ていた。
そして思う。
早く帰れ。
そう喉まで出かかったが、夕暮れの通学路、今少し別れ難い様子に、沈黙を守った。
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ほほをつついているイメージだったのですけれど、下ネタかよって言われたので、別のネタに変えたものがこちら。
『夕暮れ自動販売機』
「ねぇ」
自販機から缶を取り出しながら。
「お客様、さあ、お手をどうぞ、って言う自販機、良くない?」
「売れる!」
「あらあらうふふ」
「じゃあ、冒険したくなる自販機」
「どんなの?」
「黒豆サイダーを売ってる」
「うっ確かに、あと、お姉様に蹴ってほしいってのがわかった」
「ぬる~い、あたたか~い、あっつい!」
「それ、よく聞く奴」
「商品名は”三献茶”」
「石田三成!」
「懐で温めておりました」
「絶対言うと思った」
「あちらのお客様からです」
「あはは、自販機には無理がある」
「成功報酬は、いつものところに振り込んでくれ」
「いつものところってどこ?」
「えっ、そこっ」
「もっと優しく声をかけて」
「朝は、おはよう」
「うん」
「夕方は、お疲れ様?」
「そこ違う」
「なんていうの?」
「お帰りなさい、ご主人様」
そんな二人を、自販機は見ていた。
そして思う。
早く帰れ。
そう喉まで出かかったが、夕暮れの通学路、今少し別れ難い様子に、沈黙を守る。
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最後唐突ですけど、400文字に詰め込んだもので・・・
あと、こういうの、お好きかもと思って書いていみました。
『夕暮れ自動販売機』
「あれ、自販機がなくなってる」
「毎日、帰り道に、ここの自販機で、コーヒーを買っていく高校生がいたんだ」
「えっ、うん」
「激甘で、そんなの誰が飲むのって奴だったけれど、自販機は、その子のためだけに、コーヒーを売り続けた」
「ふむ」
「そんなある日、酷く落ち込んだ様子で、その子が通り過ぎて行く、いつものコーヒーを買うこともなく」
「夕暮れの道、離れゆく背中に、ああ・・・、と自販機は思う、でも、声をかけることもできない、それでも、何かしてあげたくて」
「うん」
「ガタン、という音に、その子は振り返る」
「ガタン、ガタン、ガタン、次々とコーヒーがあふれる光景が、そこにはあった」
「あっ!」
「そう、そんなことをすれば、どうなってしまうのか、自販機には、わかっていた、わかっていたけれど、それでも・・・」
「そうか・・・、そこにつながるのか」
「そして、これが、そのコーヒー、飲んでみる?」
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悲劇にしたくなくて、言い方を気を付けたのですけれど、胡散臭くなりすぎてしまったかも・・・
最後におまけです。
『おまけ』
「犯人はお前だ!」
ポチッ。
ピッ、ガコン。
「自販機相手に、何やってんだお前は」
「えへへ、あれ、二本ある」
「真実はいつもひとつとは限らないんだなあ」
「うわあ、本当に事件だあ、おまわりさーん!」




