テーマ『空耳』
酷い嵐、叩きつける雨と風が窓を振るわせております。
この様な時に旦那様も坊ちゃんもお留守なのは、いささか心細くはありますが、家政婦である私は職務を全う…あ、電話がかかってきたようでございます。
「も…もし聞…える?」
「あ、坊ちゃん。」
「土砂崩れ…帰れそ…にな…て。」
どうやら、あちらは嵐の真っただ中のご様子、少々聞き取り辛いです。
「僕…心配な…、母さ……ど……てる?」
えっ、なんとおっしゃっているのでしょうか?
「か…さ…は、無事?」
か、さ?、あぁ留守中お預かりして…
「申し訳ありません。旦那様にはお伝えしたのですが、庭に出た際に強風にあおられ、折り悪く木の枝で大きく裂かれてしまい、いたる所の骨が折れ、もはや手の施しようのない状態に…」
「なんだって、そ…な、どう…たらい…んだ。」
「ご心配には及びません。旦那様がすぐに新しいのを用意するとおっしゃっておりました。」
けっして、ブラックなネタではありませんからね。
『月の音色』に投稿を始めて2年、これまでに投稿した作品はこれで全てです。
そして、来月には、また新しいテーマが発表されると思います。
毎月、更新していければいいなと思います。
次回のテーマは『真夜中のコンビニ』です。
締め切りは六月二十一日(日)です。
なろうへの投稿は、六月二十二日を予定しています。




