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テーマ『すいこまれる』
いつも、うっかりがすぎちゃう彼女。
「飲み物を用意して来たよ。」
そう言って、公園で、プリンを差し出される。
もはやこのくらいでは、僕は動じない。
つまり、スプーンを忘れたんだね。
「ありがとう 。」
笑顔で返す余裕の対応。
「はい、じゃあこれ、ストローね。」
「なっ!」
「ぷっ、くくーっ。」
こらえきれないという感じで笑う彼女。
「あはは、なんか最近、私の事を生暖かい目で見守っている風だったから、懲らしめてあげたのよ。」
笑顔にすいこまれる。
実に嬉しそうだ。
ご満悦で、自分の分のプリンを取り出す彼女に、かけるべき言葉はひとつしかない。
「君も頑張れ。」
さし戻されたストローを見た彼女が、荷物を確かめ、顔を赤らめている。




