テーマ『チャイムの音がする』
「ちょっ、待って、たんま、たんまって言ってるでしょ、このガキどもー!」
子供と大人の違いは何か。
いわく、雪を見て喜ぶか、うんざりするか、なのだそう。
昨夜からの雪に期待をかけていたのだけれど、根性なしの雪はうっすら積もるばかりで、せめて、朝、少し家でゆっくりする言い訳がたつくらいには頑張ってほしかった。
だって、めったにない雪なのだから、遅刻が許されるくらいのご利益があっても罰は当たるまい。
なのに、いつもの緩い坂道で、命がけの登攀を強いられるばかりなんてあんまりです。
憂鬱を抱える通学路で、楽し気な子供たちの喧騒がする。
まあ、通りがかりの小学校で雪合戦を見かけたからといって、女学生のとる行動など・・・
突撃あるのみ!
校庭に踏み込み、鞄を放り出して、雪玉を手当たり次第に投げつける。
きゃーっと逃げ惑う女の子にもお構いなしだ。
「みんなでやっちまえ!」
コイツら、私が制服でも容赦ない!
たちまち集中砲火を浴びて、へなへなと反撃するも多勢に無勢で・・・
チャイムの音がした。
バイバイ、みんな、ありがとね。
全ては狙い通り。
これだけ雪にまみれれば、教師も心配して遅刻をとがめまい!
さっ学校行こっ。




