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テーマ『びっくり箱』1本目
「凄い量の本だね。」
「いつの間にかね。ごめんね、本の引っ越しを手伝わせて。」
叔母上の「床が抜ける!」との勅命で、貸しコンテナに本を移すのだそう。
「母さんたら聡君にまで迷惑を。」
「いいんだ、それより、この棚全部、ミステリーなんだ。」
「うん。」
「僕に読めそうなのある?」
「もちろん!最初は、北村薫『覆面作家は二人いる』と加納朋子『ななつのこ』が良いと思う。あと…」
有栖川有栖、黒崎緑、倉知淳、はやみねかおる、東川篤哉、築かれる本の山。
「若竹七海は『名探偵は密航中』なら安全、変わり種で氷室冴子の『なんて素敵にジャパネスク』、少女小説のフリしたミステリーだから。」
結局、最初の二冊を借り事なきを得た。
「本を段ボールに詰めたよ。」
「一箱にそんなに大丈夫?」
「平気さ。」
あれ重い、けどカッコつけた手前、後には引けない。
腰を落とし、足の力も動員、気合で箱を…
上がった!
段ボ-ルの底が抜ける音と共に…




