第8話
この回で第一章最終話です。
第8話
溢れ出したそれは、人が流す涙の様に美しく儚いものでは無かったが、それはとても"綺麗"に輝いて彼の前に存在する人間達を焼き払った...
彼が流した涙を見た人々は、それをこう呼ぶだろう
「ビーム」
と...
彼の足元にいた人々は、彼の流す涙に触れることは無かったが、至近距離で浴びた圧倒的な熱量によってコンクリートにその影を焼き写して姿を消した。
地平線にまで真っ直ぐに伸びたビームは、空をより明るく照らすと、そのまま地表にに近づいて、そのまま全ての建物と人々を焼き払い続けた。
彼が首を向けた方向は、そのままビームによって焼き払われた。
それは地表だけに限らず、恐怖より逃れるために地下に篭ったある人々も地上と同じく等しく焼き払われるか蒸し焼きになるかの二択であった。
そうして彼は視界に入れた全てを焼き払い続けた。
街の半分を焼いたところで、背後では巨大な筒が完成した。
それはまさしくミサイル、SRBM(短距離弾道ミサイル)であった。
いくつも作り上げられたそれは、天高く打ち上げられると割り振られた各々の目標に向けて忠実に落下、爆発を起こし全てがしごとを完遂した。
その着弾地点に出来上がったクレーターに、動くものの影は一切存在しなかった。
そして極東の島国に現れた巨人は、たった一晩にてそこに住まう全ての人々に恐怖とトラウマを刷り込み、深い、深い憎しみがこの国にも蔓延した。
激動の1日が過ぎ、新たなる朝を迎えたこの国であるが未だ騒動は治ることを知らず、むしろ激化しようとすらしていた。
インターネット上では憶測以上でもそれ以下でも無いような善意のデマが飛び回り、襲撃現場ではこの一大スクープを我が物にする為に上空や地上を占拠せんとする報道群、そしてその隙間を縫うように行動しているのは日本各地から駆けつけた救助隊である。
しかし、その健闘も虚しく燃え続ける火災の対処に焼け石に水程度の消化活動に追われ、人命救助すらもままならないでいた。
全ての災厄の前に彼らは無力であった。
しかし、それでも彼らは戦いを望んだ。
それは、万物の霊長たる人類は今更その地位を捨てる気は無く、ましてはここで滅びるつもりも無いのだから...
第二章に続きます。
が、すいませんまだ第二章は途中までしか出来上がってないので、更新に時間がかかります。