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正義のHEEL  作者: include
選ばれた、始まり
7/31

第6話

今回は少し長いです。

あと、活動報告に設定補完・・・もとい、妄想が書き綴ってあります。

よろしければご覧ください。

第6話


自衛隊総司令部は、前線の攻撃部隊より入った報によりこちらの放った全ての攻撃が、敵によって無効化されたとの報告を受けた。


続けて入る全ての報告は、そのどれもが悲嘆と狂乱に満ちており指揮系統は崩壊寸前であった。


しかし、その無秩序な混乱は唐突な前線との通信途絶という形で解決に至る。


それは、その場において最も最悪な結末と同意義である事に彼らが気づくには、今暫くの時間が必要であった...



私の願いに反応し全てのミサイル、砲弾を迎撃したいくつものレールガンは虚空へと消え、その内幾つかの砲身は、直ぐに形を変えて私の前へと現れた。


それは、粉うことなくミサイルであった。


ミサイルの出現と同時に、小さな画面が私の視界を埋め尽くすほどいくつも出現した。


その画面の一つ一つには、つい先程まで私への害意を剥き出しにして攻撃をしていた、恐ろしき兵器の数々が映し出されていた。


私を否定し、私を傷つけようとするそれらに私は不思議と既視感を感じ、その既視感の正体が先程走馬灯で見たいくつもの人間の顔と重なる事に気づくのに時間はかからなかった。



そうだ、世界は私を害そうとしている。



今この場にいる全ての人間は私を殺す為にここにいる。


私の気持ちも知らず私を理解しようともせずただただ都合よく利用するだけしてその結果私を殺すのだ。


そこに走馬灯のあいつらも、ここいるあいつらも何ら変わりはしない。



結果は同じだ。



私は死にたく無い、殺されたく無い、誰かに否定されたく無い。



そんなのは絶対に嫌だ。



これ以上私は、私を傷つける事に耐えられない。



私の叫びに呼応するかのように、私の周りに展開するいくつもの砲身とミサイルは唸りを上げる。


私の目の前に表示される画面の一つ一つに、何かのカーソルが合わされる。


そして、最後の画面のカーソルが敵に合わさると新しい画面が私の前に表示される。



--------------------------------


よろしいですか?


----------------------


はい / いいえ


--------------------------------



・・・



- その時の私は、何かを考えてそれを選択したのでは無いと思う。


ただ、走馬灯で見てきた今までの人生、その全てを否定し全てをやり直す、そんな手段を心の奥底で求め続けていた。


そんな私の背中を押し出すこの選択は、とても魅力的なものだったのだろう。-



私の手は無意識に、力無く、でも確実に、動き、そして選択した。



そしてその日、私は世界への事実上の宣戦布告を行いこの世界で6機目の人類の「天敵」となった。



そこから先の戦いは...いや、それはもはや戦いでは無くただの作業となっていた。


私は画面が示す全ての敵を贔屓も、差別も無く、等しく同じ結末へと導いたのである。



「アンチマテリアルフレシェット弾」



と視界の隅には表記されていた。


名前の意味はよくわからなかったがそれがもたらす効果はよく理解できた。


私の周りに展開したミサイルが、地上に這い回る敵にめがけて寸分違わず向かって行く。


目標の上空に至ると同時にそれは爆発、その中から人の腕並みに大きなダーツの矢のような弾がいくつも打ち出される。


そしてその矢は地上にいる全ての敵に降り注いだ。


その矢が刺さった後には、戦車も自走砲も装甲車も車も人もテントも建物も全てが動かないただの残骸の成り果てた。



また空を飛ぶ敵には、先程のレールガンが打ち出される。


コレもまた一つの例外もなく敵に向かい、まるで花火の様にいくつもの爆発で空を染め上げた。



そうして私は、たったの一度の反撃で全ての敵を排除し終えた。



しかし、安堵していた私の元に突如大量のミサイルが飛んできた。


それは、先程ようやく近海に到着した海上自衛隊の護衛艦隊群による遅すぎる支援攻撃であった。


満を持して放たれたその猛撃は、驚くべき精度で私の身体に着弾し爆発光でその装甲を朱に染め上げた。


敵を一掃し、油断していた私の身体には、先程まで存在していたプラズマフィールドは消えていた。


そこに飛んできたミサイルの炸薬量に、流石のこの身体も少なからずの悲鳴をあげ、目の前にいくつかの被害箇所を示す画面が表示される。


それでもまだ、私の身体は私の思い通りに動く事が出来る。



故に再び私は、敵に向けて強い憎悪を募らせる。



私を否定しようとする敵。



傷つけ、虐げ、終わらせようとしてくる憎むべき敵だ。


彼等にいかなる正義があろうとも、その行為は間違いなく私にとっての悪である。


故に私は再び意を決して虚空に武器を構える。


再び、私の周りを見えない何かが動き周り、その速度が臨界に達した時その姿を現わす。



それに名前は与えられていなかった。


しかし使い方は一目瞭然である。


何故ならば、その姿はまごう事ことなく巨大な剣であったからだ。


私の胸たけ程はある巨大で肉厚な剣である。


切っ先を上にして空より降下してくるそれを、私は両手で掴む、そしてそのまま下段に構えると私は思い切り地面を蹴り砕き、敵に向けて跳躍した。


空高く飛び上がった私は、そのまま近海に展開している護衛艦隊を目視した。


すると、脅威度順に画面が表示され私に最適な攻撃を指示する。


敵は突如飛び上がった私に明らかな狼狽を示し、辛うじて狙いをつけ主砲を咆哮させ、申し訳程度の抵抗を行なっていた。


いくつかの砲弾が私を掠め、又はプラズマフィールドに妨げられる。


それらに砲弾には目もくれず、彼等の艦隊が作り上げた美しさすら感じる陣形の真ん中を目指し、私は着地した。


そこに存在したのは、広大な甲板を有した巨大な艦である。


インパクトの瞬間、甲板はひしゃげ、周囲には衝撃波が発生し海は一気に荒れはじめた。


その次には、足場となったその艦のキールがへし折れ、金属が擦れ合い軋む耳障りな騒音と共に、艦内に大規模な浸水が発生し艦は沈没を始めた。


しかし、その僅か数秒後にはぐちゃぐちゃになった艦の前部と後部を繋ぐ僅かなパーツも限界を迎え、元々一つの艦であった二つの鉄塊は海に垂直に立ち上がりそのままの形で海に沈んでいった。


肝心の私はと言うと、そのまま艦の沈没に合わせて海へと沈降した。


そして、足場となった艦が完全に海に飲み込まれた時、海中に身を潜めた私は急速に浮上を開始する。


その勢いで、目に付いた適当な艦に向けて剣を突き立てた。


そして突き立てた剣を捻り、穴を無理やり広げ艦を浸水させ再び沈降、その作業を幾度か繰り返してらようやくもう一隻を沈めると、海上に何かが降り注いだ。


それは、残存する護衛艦隊と、頭上で飛行する哨戒ヘリコプターがせめて一太刀と、闇雲に放った各種魚雷群であった。


艦やヘリから海へと放たれた魚雷は、沈没する艦によって海に響く騒音で目標を見つけられず、虚しくその場で旋回し続ける。


しかし、そのうちの数本が、獲物を定め浮上を行った私を偶々捉えることのでき、此方へと向ってくる。


そして、私の身体付近で連続した爆発が起こる。


突如として海中に発生したいくつもの真空の球体。


私がそれを目視すると同時に、真空に流れ込む大量の海水によって私の身体は強く揺さぶられ翻弄され、その場での活動がままならなくなる。


不味いことに、私が海中で翻弄されている様を確認した残存する護衛艦隊郡は、雷撃による攻撃に効果に希望を見出し、各艦が搭載するありったけの魚雷を艦の至る所より撃ち出した。


無様に海中で踊り続ける私に更に魚雷が迫る。


上空から、海中から私へ向けて数多の敵意が此方へ迫りくる。


頼みの綱であるプラズマフィールドは、先程水中に没した時より起動していない。


今の私は、敵の攻撃をミキサーの中でただひたすらに装甲で受け続けている状態であった。


上下左右様々な方向から不愉快な衝撃と振動が私を襲い、私の心はくたびれていた。


そこに、とどめとも言える更なる大量の魚雷が周囲で起爆する。


再び起こる爆発、それに伴う莫大な海水が引き起こすうねりに私の身体は軋みをあげる。




痛い、痛い、痛いイタイイタイイタイイタイいたいいたいいたいいtai...




私の中を痛みのみが支配する。



身体がたった一つの何かしか感じなくなる。



その何かに次第に頭の中に侵食してくる。



「これは...」次第に身体を支配している痛みが消えてゆく。



そうして私は痛みとは別の何かに支配されて行く。


頭の中身すら、その何かに支配された頃には、私の身体は深い海の底を目指して沈んでいた。


そして、新たな私は海の底で目を開けると先程のうねりの中でも手を離すことのなかった剣を、海上にいる"敵意"に向けて投擲する。


水を切り、"敵意"に向けて向かっていった剣の切っ先は、一切の迷いを持たず、艦に突き刺さり艦底に引っかかった柄によってその勢いを止めた。


海上で激しい炎をあげる艦を余所目に、私は海の底から脱するために足を動かす。


海上に姿を現した私目掛けて、その数を減らした惨めな艦隊...いや、醜い敵意の塊達は、私に残された全ての火力を叩き込む。


しかし、その悲しき抵抗は私に対して何一つ効果を上げずただただ虚しい音と光をあげるだけであった。


そうして残った艦に対し私は、虚空より先程よりも小さな超電磁砲を大量に出現させた。



それを残る敵意に向けて全て放つ。



威力を抑えた砲は、一撃では艦は沈まない。



何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、攻撃を放ち、敵を少しづつただの醜い鉄塊へと変えてゆく。



いくつも空いた小さな穴より、小さな炎を吹き出すそれらは、もはや決して自らの意思で動く事のないそのガラクタとなりはて、徐々に海中に没してゆく。

ガラクタを余所目に、私は再び海中に没し地上に向けて歩き始めた。


本格的な戦闘の終了です。

これより彼は、人類の敵として数多の戦いを繰り返してゆきます。

第一章はもう少し続くので、よろしければお付き合い下さい。

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