第2話
まだ人間しか出てきません。
第2話
そんな正義の一員として生きてきた私は、気がつけばよく知らない人間の借金を支払い、日銭を稼ぐ事にも苦労し、明日もこのように生きているのかもわからない状態になっていた。
まともな職も持たないのに、一銭にもならない慈善事業の予定ばかりが時間を圧迫し、ここ何年も自分に与えられた自由な時間はろくに無かった。
そうして私はだれに喜ばれるかもわからない事前事業を行い毎日を浪費していった。
今日もまた何時もの様に、名も知らない誰かの為に自らを犠牲にする用事を果たす為に、数少ない私物である使い古した自転車を漕ぎ目的地へ向かう。
その時であった、周りを歩く人々が携帯電話より神経を逆なでするようなけたたましい騒音があたり一帯から鳴り響いた。
その音の正体を記憶から呼び起こす、それは半年ほど前に国際反抗連合軍がなんらかの手段で会得らしいJアラートを流用したジェノサイダーの発生の前兆を知らせるアラームであった筈だ。
選ばれし者と名乗る集団により世界各国のの領地が奪われ、その侵攻が停滞して以降彼らの戦略はガラリと変わった。彼らは自らのエグゼイーターを駆り僅か単騎で虚空より現れその場にいる全ての生命を蹂躙し始めたのだ。
この突発的な少数による奇襲に当初国際反抗連合軍は手も足も出ず、ただただいつ終わるとも知れない臨戦態勢を敷き続けるしか無かったのだ。
しかし、半年程前に何処かの研究所だか何処かが、遂に敵の発生前に現れるなんらかの予兆を発見、これにより世界は敵の出現を僅かな時間ではあるが事前に知る事が出来るようになった。
そうして、世界各国にてそれを検知するシステムとそれらを国民に知らせ事前に避難をさせるシステムを急遽作りあげた。
急造のものとはいえども、それが有るか無いかでは遥かに被害の規模に差が現れた。
また、事前に少数でも戦力を配置可能な事により敵の足止め、上手くいけば撃退すらも可能となり人類はジェノサイダーに対する新たなる矛を手に入れ反撃への一歩を踏み出す事が出来た。
そして今、その人類の英知の結晶が私の周りで鳴り出した意味は考える必要も無かった。
人々は、顔を蒼白に染めて狂乱に満ちながら近くにある避難所を目指し、我先にと他人を押し退け殺到する。
かくいう私は、何故だかそれを避難する事なく遠目で眺めて何も出来ずに立ち尽くしていた。その時、道の端に立っていた私の隣で一人の女性が群衆に押されて倒れ込んだ。
私は、条件反射的にその女性に手を差し伸べた。彼女は私に感謝の言葉を伝えると手を取り立ち上がった。
すると彼女は、私を見て心配する声を掛ける。
私が大丈夫と伝えると彼女は安心したように息を吐き一息つくと、私にも避難をするようにと促した。私は頷き彼女に続くように避難所へと向かう人々の一員となった。
そして、
その頭上に悪夢が訪れた。
次回、エグゼイーター初登場です!!
ようやくロボットを本編で出せます!