第2話
前回の前書きで書き忘れてました。
今章は、少し違う視点から始まります。
主人公の敵対者側からの視点でしばらくは書き進める予定です。
第2話
---師団長第激昂より3時間経過---
そこには、精神を疲弊させ、何をするわけでも無くただベンチに座りこけている岡元准尉の姿があった...
机への理不尽な殴打より続けられたのは、烈火の如き激昂と、一頻り叫び終えた後に訪れる冴えた頭による皮肉、嫌味の数々であった。
おまけにそのやり取りは部屋の外にまで響き渡っており、会話の内容こそもれ渡る事態は避けれたものの、本土よりやって来た新参者が彼等のトップにあそこまでの激昂をさせた事にいい顔をするものはいなかった。
その結果、精神を疲弊させたところに、道ゆく先で出会う隊員達より冷ややかな目線を浴びせられ続け...
それで尚、この駐屯地を駆け足で逃げ出していない自分は誰かしらの称賛に値するだろう。
そもそも、私にそのような選択は許されてなどいない。
私を縛るのは、任務であり、使命であり、約束であり、そして"責任"なのだから。
ここで逃げ出してしまっては、私を信じて送り出してくれた幾世一尉に立つ背がない。
それ故に、どれだけ現地部隊に嫌われようとも私は私の責任を、任務を果たし人類の怨敵に備えなくてはならないのだ。
その為にもまずは、来る演習にて戦術指導を行いつつ、良好な関係を築かなくてはならないのだ!
...と意気込むものの、流石にこれは無理です。ダメです。
先程から、何度も膝に力を入れて立ち上がろうとしているのだがどうしても膝が抜けてしまって立ち上がれない。
そうして渋々、この片隅のベンチで延々と俯きこけているのが悲しきこの私だ。
どうしたものか...
と静かに途方に暮れていると1人でに胸が震えだした。
なんとも言えない悲しみの元胸の震えに意識をやると、それは私の身体ではなく外的要因による震えであると気付く。
それと同時にその震えが何を意味するのかも思い出すと、急いで胸のポケットより携帯を取り出した。
そこに表示される名前は、なんと素晴らしい事か、頼りになる私の偉大なる上司の名であった。




