第10話
第二章最終話です。
途中、テンション上げていつもと違う書き方をしてしまいました。
書いてて楽しかったです。
第10話
-翌日-
液晶画面の向こうでは、馴染みの朝の顔として知られたリポーターがいつものようにニュースを読み上げている。
「昨夜、この○○町より西に50km離れた○○山山頂に、国内二例目となるジェノサイダーの出現が報告されました。」
「このジェノサイダーは、昨日の深夜3:00ほどに○○山山頂に突如として出現しました。しかし、前回の出現時の様に付近一帯に攻撃的行動を見せる事なく山頂付近にただ立ち尽くした状態のまま、自衛隊による迎撃を受け反撃もする事なく突如としてその場から消失しました。」
「尚、今回の襲撃による人的被害は確認されておらず、各省庁は世界初となる犠牲者ゼロの襲撃では無いかとコメントを出しています。」
リポーターは、昨夜起きた事をそのままただ読み上げていた。
現場付近の空撮風景から、スタジオに映像が切り替わりリポーターによって次のニュースが読み上げられる。
私は、それらのニュースを聞き流しながら朝の支度を続ける。
身支度を終え、姿見の前で身なりを整える。
クリーニングから戻ってきたばかりの制服は心地よくノリがきいており着込むだけで自然と背筋が伸びる。
全ての準備を整えた事を確認した私は玄関に足を伸ばし、ノブに手をかける。
戸を開けると共に微かな日差しとこの季節特有の整った空気が肌に触れる。
そして、開いた戸の前には見慣れた顔が待ち構えていた。
私の大切な直属の部下であり、秘書の様な、または大切な右腕でもあり、そして腹心である存在の岡元準陸尉だ。
「おはようございます、幾世一等陸尉。」
岡元からかけられた挨拶に私も返事を返す。
岡元に導かれ、軒先に止められた車の助手席に私がすわり、岡元は助手席のドアを閉めすかさず運転席に乗り込み車を目的地に向かわせる。
向かう道中に私と岡元は、毎朝の日課として様々な情報を行き来させ、本日のスケジュールを確認する。
やがて目的地に辿り着くと、岡元にリードされて私は車を出る。
道ゆく途中、すれ違う隊員達に敬礼を返しながら充てられた部屋に辿り着くといつもの業務に取り掛かる。
今までと何ら変わらない毎朝のルーティンだ。
しかし、ただ一つ今までの"それ"と違うのは、今まで備えとして行って来たそれらを今は迎え撃つ為に行っている事だ。
一月前より我が故国に、外様の国を荒らしていた悪鬼たる存在がが上陸した。
勿論我が精鋭たる同胞も勇んで立ち向かったが、その結末は無残たることこのうえなかった。
そして昨日、今一度奴は現れ、我らを嘲笑うかの様に姿を消した。
そして、今日。
我々は奴、...いや、「ジェノサイダー」に突き立てる正義の刃を振るう為の最終段階にようやく漕ぎ着けることが出来たのだ。
しかし、ジェノサイダーに立ち向かうには後少しの猶予がいる。
その為にも今は、既存の戦力を持ってして無辜なる人々を守る盾とならねばならぬ。
故に、岡元にはこれより我が国誇る最強の地上戦力を有するかの"師団"へと赴き、我らの持つ研究の成果を彼等に伝授し、今少しばかりの猶予を得る為に出立して貰うのだ。
その地は極寒にして広大な北の大地。
そして、武士の魂引き継ぎ、地を埋め尽くさんとする脅威に立ち向かわんと研鑚を重ねて来た彼者ら。
国内唯一にして最大である機甲師団を有した彼等に、今しばしの国防の任を任せ、私はその時に備える。
そう、我ら「特別脅威対策研究班」、通称特脅班。
そして、世界が有する三と言う力を"シノマエ"とするキリフダを立ち上がらせるその時まで。
第二章 終
さて、人類側の準備も整ってまいりました。
そして、私の苦手な組織図に関するエトセトラとも向かい合わねばならなくなってきてしまいました。色々と濁して書いている理由にその組織に関する事情があります。
お手柔らかにお願いします。
二週に渡って連続投稿した理由は後で活動報告にでも書こうと思います。




