第2話
今回は心理描写ばかりです。
第2話
訳もわからず、
人目も気にせず、
ただ、頭を抱えながら一心不乱にここではない何処かへと逃げている無様な私がそこにはいた。
気がつけば、何処かもわからない路地で私は倒れ込む。
恐る恐る立ち上がろうとすると、激しい吐き気を催した。
襲いかかる激しい衝動を碌に抑えることも出来ず、その場で胃の内容物を全て吐き出し、身動きが取れなくなってしまった。
その後、私の身体が満足するまで胃の内容物を吐き出し続けてようやく少し落ち着きを取り戻し、壁を背もたれにして座り込んだ。
そして、そのままの姿勢で考えを巡らせる。
何故私はあのような凶行に手を染めてしまったのだろうか、
何故私はここにいるのだろうか、
私は何者なのか...
思いを巡らせるたび、頭痛が激しくなる。
あの時の私は私の意思とは一切関係なく、文字通り『身体が勝手に動いた』状態であった。
気持ちが悪い。 気味が悪い。 得体が知れない。
頭に浮かぶ言葉は数あれど、その原因は一向に思いつかない。
何故だ。
何故なのだ。
思え返せば思い返すほど、あの時の私は自らの意思とは身体は乖離した行動を起こしていた。
恐ろしい、恐ろしい。
その結果があれだ、さもそれが当然の行いがごとく行う、無意味で無駄で無様な"偽善行為"だ。
まるで一月前までの私の様では無いか。
その行いの動力源は、どこぞの誰かが言うような湧き出る善意より行われるそれでは無い。
ただただ、生まれながらに課せられた絶対的存在によってかけられた頸木の様に、私を縛り続けた情けない偽善行為。
誰かを助けたいという崇高な理念も無ければ、それが趣味なわけでも無い。
ただ、嵌められた頸木を打ち壊す力も度胸も無く、逆らう事の出来ない者達によって強要され、献身的な善行で自らを犠牲にして誰かの幸福の贄となる事によって、ほんの僅かな私の居場所を確保する行いだ。
そんな毎日を送り続けたあの日々からようやく逃げだせた筈だったのに!筈、だったのに...
先程のあれはまさにあの時の私そのものだ!
どうしようもない善行が私の、私自身の生活そのものだったあの頃と同じでは無いか!
私は変わるのだ。変わらなくてはいけないのだ。
だからこそあの時の私は、悪魔に首を振り人類の敵へと成り果てた。
最早、真っ当な人生を送れるとは思っていない。
それどころかあの惨めな日々に戻らない為、私以外の私を作り上げない為、そして非道なる人間に悲しみの反逆を。
その為に私はこれからも生きて行きたい...
悩む主人公をわかりやすく書き上げるのはとても難しいですね。
このお話もなんだか独りよがりな物になってしまいました。
己の足りない技量が憎い...