序章 我輩は猫だった
我輩は猫である
名前はまだ無い
とある有名作家の猫はそう言ったようだな。
私も同じ猫としてドヤ顔でそう言ってみたいものだが、残念ながら私には「タロウ」という大事な名前を持っている。
少々シャレいてるが、猫の私にふさわしい素晴らしい名前だ。
...今私は猫だと書いたが、正確には猫だったである。実際これを書いてる私の手は人間そのものだ。
なぜ人間になってしまったのかはいまだに直接は分からない。
私の元々いた世界で車に引かれて死んだら、こちらの世界で人間に転生してしまった。その事実だけは分かる。
しかし何をどう頑張れば転生、しかも人間になるなんてことがあるのだろうか。こちらの言葉も喋れるし書けるしで、都合が良すぎないか。わけが分からない。...まぁ考えてもしょうがないだろう。
今、私は体験している事とほぼ現在進行形でこの日記を書いている。
実は転生をしたのはこの日記を書くついちょっと前だ。
これから色々なことを体験するかもしれない。だから後々見返した時少しでもリアリティーを出すために何か起こったり思ったり考えたりしたらすぐに書き留めようと思う。私は天才だからな。
これからは見やすいように日記ではなく伝記風に書こう。