1.彼女の従姉妹の影武者
「センティーレの様子が最近おかしいのですが、姫様は何か心当たりはありませんか?」
私の思い人であるセンティーレの様子がおかしい。話をしていても上の空だ。
彼女の従姉妹に会う事にした。彼女なら何らかの事情を知っていると思ったからだ。勿論一般人が会うことができない。なので名誉男爵の爵位を最大限に利用する事にした。
「私が知りたいぐらいよ。モーブが知らないなら、もうお手上げね」
「王よ、無礼を承知で一つお聞きしたい」
「何だ?許可しよう」
「ありがとうございます。では本物はどちらへ?」
この場にいる姫様は本物の姫様ではない。目の前にいる影武者は本当に瓜二つだ。
「…何の事だ?」
「動きの一つ一つが大袈裟です。それと私の呼び方に違和感を感じました」
「流石ですねモーブさん」
「自分で影武者だとバラさないでくれ」
やはり、ナナ・サリシュだったか。本物なら「モーブ」と言わず「アンタ」というだろう。
「申し訳ございません、お父様。モーブさんは信用のおける方です。彼女の事は内密にしていただけますよね?」
「承知致しました、姫様」
圧がすごい。本物の姫様より政治的なことに向いているような気がする。
「彼女もセンティーレ様の事が気になります。何か分かったらモーブさんにもお伝え致します」
「あまり王族の情報を漏らさないで欲しいんだが…」
「いずれ彼も親族になるのですから、問題は無いと思いますが?」
流石の自分も動揺した。王様がいる前で何を言い出すんだこの影武者。
「流石にそれは飛躍しす…」
「あら?そのつもりでお付き合いしてるのかと思っていましたよ」
「それ以上はやめなさい。モーブ殿、娘が失礼な事を言って申し訳ない」
「お気になさらず。では私は失礼させていただきます」
扉を開け外へ出た時、「本物なら『それで、アンタ達いつ結婚するのよ?』ぐらい言います」という声が聞こえた。確かにあの姫様なら言いそうだと思った。




