5.王と王の兄
すぐに姫様達に追いついた。
センティーレ様は意識を取り戻していた。
「クリスが二人?」
「今は脱出する事を考えなさい」
「…センティーレ様、私の方からあとで説明致します」
何かやな予感がする。
『「やるのは姫様の方だけだぞ!こっちのに手出ししたら…」』って言葉が何か引っかかる。
姫様とセンティーレ様にこの事を伝えた。
「予定変更よ!早く父上の元へ行った方が、良さそうね」
「お父様がはやまった事をしなければ良いのですが…」
どうやら王族による内紛が始まったようだ。
現在の王様は「ムルチコーレ21世」という方である。本名は別にあり、王は代々「ムルチコーレ」を襲名するようだ。
センティーレ様の父親で、ムルチコーレ21世の兄は「ノースポール・アンセマム」という名だ。ノースポールは現王より魔力量が少なく、王位を継承できなかった。
〜一方その頃〜
王座の間では王様と、いつもは姫を護衛している男が、騎士団に囲まれていた。
「兄上は騎士団長になるぐらいまで、武術を極めた。なのに何故このような事を?」
「お前に俺の気持ちが分かるか?魔力量が少ない者の気持ちが⁉︎」
「…」
「分からないよな?」
「兄上、このような事はやめてほしい…」
王様がそう言うと、ノースポールは騎士達に武器を構えさせた。それと同時に姫の護衛の男も武器を構えた。
「王よ、最後までお供致します」
「いくら雷神の加護があるからとはいえ、お主1人でこの人数を相手にするのは無理だ。この場から脱出し、クリスを連れて逃げろ」
「しかし…」
その時、玉座の間の扉が開いた。