2.センティーレと名誉男爵
ーエランジェルイト王国・冒険者ギルドー
ギルドに併設された酒場のカウンター席でミルクを飲んでいる青年がいた。見た目はどこにでもいそうな村人って感じだった。
「また貴方ですか。騎士団へのスカウトならお断りしたはずですが・・・」
「スカウトではなく、今日は依頼の話をしにきた」
「話を聞きましょう」
お父様は、貴族や王族しか参加できない大会があり、主催者の娘が無理やり連れ戻された事、協力者を募っている事を伝えた。
「私も冒険者ですから、それなりの報酬がないと動きません。ところで貴女は?」
「御紹介が遅れました。センティーレと申します」
「私の名前はモーブ・チーチオといいます。報酬の話ですが、…私と結婚を前提にお付き合いして下さい」
「お、おい!何言ってや「…わかりました。では契約書を作成しましょう」
契約書にモーブ様と私はサインをした。
彼は「すぐに向かいます」と言い、この場からいなくなった。
彼が去ったあとに、お父様の方を見た。怒っているように見えた。
「お父様、言いたい事があるのでしょうが、私は一目見た時に、彼と何か縁があるような気がしました。それに根拠はありませんが、良い方だと思います。今後彼との交際については口を出さないでください」
お父様は落ち込んでいたが、気にせず急いで城へと戻った。
すぐに文通相手であるアズモディア国の姫に手紙を書いて、王族専用の配達人に渡した。
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次の日
「アズモディアの姫様と、冒険者で錬金国家の貴族の方の協力を得られましたわ」
「センティーレ、ありがとう」
「私にも戦う力が有れば行きたいですが、そのような力はないので…」
「貴女のおかげで協力者ができたわ。それだけでも十分よ」
あとは皆さんに任せるしかありません。何があっても彼女を連れ戻して下さい。