1.生い立ち〜姫の侍女になるまで
この世界での名前は『ナナ・サリシュ』というらしい。この夢を最初に見た時、彼女の母親が言っていた。
彼女の父親は、エランジェルイト王国という国の王族の遠戚で、本国から見て西の島を収めている貴族だ。
彼女は平穏に暮らしていた。15歳になるまで…
この世界には魔法が存在する。
王族は魔力が高い。だが、彼女は王族の血を引いてはいるが、魔力はかなり低く魔法を扱うことができなかった。
15歳の彼女の誕生日に「魔法がろくに使えない娘は、私の娘では無い!」と父親に言われ、何も持たされずに家を追い出さた。
家を追い出されてからは、この島にある冒険者ギルドに出入りして、冒険者として生計を立ていた。
数週間ぐらい、冒険者として暮らしていたら、エランジェルイト王国から使者が着た。『姫様の元へお連れします』と言われた。
その後、彼女は城に連れていかれた。
「私の侍女として働きなさい!断るという選択肢は貴女にないわ。あと、貴族としての本当の名は名乗らないようにした方がいいわね。私から後で別の名を与えるわ」
エランジェルイト王国の姫『クリス・アンセマム』にそう言われた。
彼女が彼女の事を聞いた時、「すぐに探し出して連れて来なさい!」と命じた事を、彼女を護衛している近衛兵の男から聞いた。
まぁ冒険者として生きるより、侍女として生活した方が安全で安定はしているから、正直有難い話であった。
彼女はそう思い、姫様の侍女になった。