5快適な移動と街の異変
幼い頃に居た街の方角にタロとジロを従え歩き出した。
移動中に遭遇した鹿や猪を狩り、薬草や果物に木の実を採取しながら森を出でた。
草原では、兎やホーンラビットを見つけてたら隠れ近付き近距離からの投げナイフで狩りながら移動した、
こいつらは音に敏感で今までは逃げられ、師匠でもたまにしか狩れなかった獲物だ。
「レベルが上がって格闘のスキルの歩法が発揮しだしたのかな?」
(いや、我が格闘のスキルを使い調整した)
(今後もよろしくお願いします)
(うむ、まかせろ)
などと、比較的に安全になる街道に出てからは父と話しながら歩いた。
(ここまで来たら、今日の夕方過ぎにはダンジョン都市のウィートに着きそうだけど、着くのは門は閉まっている時間だから、この先にある小さい頃に休憩した野営地で一泊して、朝に門に並ぶことになるかな、
あの山の形に見覚えあるから方角と現在地は間違いないな、
父、今向かってるウィートの街は、都市の規模は街だけど、名前通りダンジョンから小麦が取れるから活気がある街だー、
あと、塩もサトウキビも取れるからパンだけは美味しいんだよ)
(アース?、この世界の都市はダンジョンの資源を利用して成り立ってるのか?)
(そうだよ、資源価値のあるダンジョン、つまり、草原や森に川、海や湖があるダンジョンや、金属が採掘できる山や洞窟のあるダンジョンを冒険者が攻略してダンジョンマスターになり貴族になる、外壁をみんなで作り段々広げて暮らしてる)
(モンスターは溢れない様に間引いてるのか?)
(溢れる?、飽和かな?、ダンジョンの設定を変えて、モンスターが増えすぎる事で起きる飽和はゲートでの転移排出を入り口から外壁の外に出口を作りそこに変える事で中を安全地帯にしてるんだ、
転移できる距離により町、街、都市まで広げられるか決まるんだけど、
ダンジョンを使った安全な場所に人が集まり暮らして居る場所の事を規模に関係なくダンジョン都市って言うんだよ)
(考えたな、これなら魔物に襲われる地で守りながら農業をしなくて済むな、
アースは街でハンターと行商人の登録すると言っていたが、何故?行商人なんだ、各都市に資源が有るんだろう?)
(その資源には問題はあるんだ)
(問題?、モンスターが出ることか?)
(違うよ、モンスターは騎士や兵士が狩ればいい、
問題は、ダンジョン内の資源の量は多いけど種類が少ない事と、味がねー)
(種類?、あぁ、ダンジョンによっては野菜は沢山取れるけど他の物が採れないとか不味いとかか?)
(もっと種類は限定的、小麦は沢山取れるけど他はほとんど駄目とか、
今向かってるウィートの街は名前通り小麦が沢山採れるけど他は塩と砂糖キビだけがほんの少ししか取れない、野菜とかはほんの少し、
肉は深い階層で狩れるウサギや小型の魔獣のホーンラビットを狩れば取れるけど、中の奴は肉質が固く味が無いうえに大きさの割に攻撃的で危険なんだ、
まぁ、兎に角、どのダンジョンも得られる食材が極端に偏ってるんだ、あと少ない量しか取れ無い物の味がねー、不味くは無いんだけど)
(なら、各都市が足りない物をお互いに交換しながら生活して居るだから行商人なのか)
(そうなんだけど、ダンジョン都市の人達の生き甲斐に成りたいんだ)
(何だ食べ物は都市内で取れる、外壁で安全、何で食べ物が生き甲斐になるんだ?、不味くは無いんだろ?)
(それはね、基本ダンジョン内の色々な野菜や果物は味が薄く、美味しいとされる魔獣の肉でさえ、外に居る動物に比べると美味しく無い、つまり味がほとんど無い)
(だからか、危険を知りながらも都市近くの外に村を作るのは)
(うん、でも村は特定の場所にしか作れない、都市に近くで広い平原を縄張りを持つ魔獣が居てそれを倒して縄張りを奪い、
魔物の空白地帯になっている間に魔法で外壁を作り出来るだけ高く厚くしていく、
中の畑や家畜の放牧地の安全を確保して、広さに合った村を作るんだ、
それでも危険だから戦える者しか村人に成れない)
(危険を知りながらも暮らすぼどか!)
(ほどだよー、 村で作られた作物や果物、家畜なんかはダンジョン産の物なんかに比べられないほど美味しいんだから)
(だから村があって、そこに狩人として戦えるからアースが居たのか)
(うん、僕は孤児院の孤児の中で村に都合の良い狩人の職業で、早くに戦闘系のスキルを習得して戦えたから村に引き取られた、
結局は魔法がイマイチで村を出る事なったけど、今は良かったと思ってる)
(処で基本が不味いなら、ダンジョン産でも美味いものも有るのか?)
(うん、今から行く街ウィートは小麦が特産で村の物に比べてもまぁまぁ美味しい、
ダンジョン産でも特産になる一部の物だけはまずまずの味で凄く沢山取れる、
それらを仕入れて途中の村へ、村の不足品を持っていれば美味しい物と交換できる、それらを他の都市に売ると凄く喜ばれるんだ、
都市でもたまに肉や果物なんかは騎士が外の魔物の討伐ついでで持ち帰り多少は出回るらしけど、基本は行商人任せになるね)
(なるほど生き甲斐になりたいか、
だから危険でも美味い食事が食べられる村での暮らしを望む者が居るのか、処でソードラビットは何故討伐されなかったんだ?)
(街道にも村にも関係無い所が縄張りだったから、知らなかったのかな?)
(つまりはこの世界の貴族はダンジョンマスターで、国はダンジョンマスター同士の特産品を交易する為の集まり、
貴族は村と各都市へ行く街道や周辺の安全をある程度確保する代わりに美味い食べ物を税として分けて貰っている訳か)
(そうだよ、ただし交易、神との契約で都市の外、つまり村の物と他の都市の特産品を売り買いできるのは村の住人か神殿の組織のギルドに登録した冒険者とハンターと商人だけなんだ、
自由なのは商人、入出庫を商人ギルドで管理されるけど、
ハンターは馬車などを使わない範囲の買取で、販売は自由、都市に馬車では入れない制約がある、
冒険者は買取は自分達の分だけ、販売は自分達が倒した分だけになる)
(つまり、神殿の組織以外は村やダンジョン都市間の流通や移動は出来ないのか、何故だ?)
(神の契約には村は神殿施設で都市の貴族に属するものは神の許可なく入れない、また、管理されたダンジョンに神殿関係者は緊急時以外は入れない、因みに神の結界が貼られていて入れない、
あと、貴族の加護を得て強い騎士や兵士も都市を離れすぎたり、他の人に管理されたダンジョンへ近付き過ぎると戦えないほど弱体化してしまう、だから他のダンジョン都市には行けないみたい)
成る程な、だから貴族に属さない、ステータスカードの有る村人や神殿の神官と神殿が運営するギルド職員にギルドメンバーには管理の為に罪の表示が必要なのか、
このダンジョンと神殿システムはこの世界に後付けされたものだな、過去の禁忌に関係しているのかもしれないな、
まぁ、我らには関係無いか。
(もうすぐ野営地に着くよ、街の外壁と塔の上の部分が見えて来るよ)
太陽が隠れる前に都市の城の塔が見え外壁の上部分が見える野営地まで来た。
(アース止まれ!、街から煙だ!、急いで脇の森に入れ)
(どうしたの?)と聴きながら森に移動を始めた。
(森に入ったら周りを確認して高い木に登り、街を良く見ろ、我と同じ物を見ているのに気付かないのは危険だぞ!)
気配感知を使い森に入り、周りの気配を探り魔物の気配がないことを確認して高そうな木に登った。
高い位置から見ると街から煙が上がり、壁の下部分は何箇所も崩れ穴が空き、門は開いたままになっていた。