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40倒すための糸口と逃げられたー

 夕方にタロとジロが用意した、森が少し開けた岩がいくつかある場所に着いた。


 タロとジロは今も周りからゴブリンを集め続けているので尽きることなくゴブリンは元神殿騎士長を襲い続けていた。


 元神殿騎士長は、今はゴブリンの囲いの真っ只中に居るのと、ここまで来る間の戦闘での疲れから潜伏スキルを発動して隠れていた。



(主人、止めましょうよー、意地になって効かない攻撃を繰り返すのわー)


(五月蝿いなー、効きそうな場所や関節なんかの隙間が有れば狙う、これが狩人としての習性なんだからしょうがないだろ、でも若干意地になって繰り返した攻撃であの化け物に死角が有るのが分かったよ)


(やっぱり意地になっていたのか、ん?、死角?そんなの有ったか?、アースの勘違いだろ)


(ふっふっふっふー、有ったんだなコレが、1方向だけが反応が遅い場所が有ったんだ)


(まさか正面ですか?、馬鹿なんですか主人は?)


(えっ、なんで?)


(馬鹿だろ、正面は確かに感知系は広げない、見えるから広げる意味が無いからな、アース、まさか知らなかったのか?)


(えっ、そうなの?、でもそれだど師匠の影矢なんか感知出来ないよ?)


(?、影矢?、何だそれ)


(矢の後ろに矢を隠しての2段攻撃)


(嫌々、それは分かったが、奴には矢は効かんのだから意味無いだろ)


(矢は効かないけど、魔法鉄の槍ならあの鎧にも刺さるでしょ)


(主人、盾で防がれたら意味無いですよー、盾はどうするんですか、盾は、アッ、そうかゴブリン!、ゴブリンの攻撃を盾で防いだ時を狙うんですね)


(正解(せいかーい)、盾で左横の攻撃を受けてる時に正面がら空きになるからその時にクロに槍を投げてもらい、その影に僕が槍を投げて攻撃する、


 避けるだろうから倒せはしないと思うけど、傷は負わせられると思う、薬が切れて傷に回復魔法を使えばゴブリンは勝手に集まって来るからタロとジロも攻撃に回せる、奴を休ませずに攻撃できるから奴の体力が無くなればこちらの勝ちだ、


 最初は(ポーション)で回復するだろうけど薬が無くなるまで攻撃を続けて、攻撃に慣れられない様にバリエーションを色々変えて投げてれば継続的に傷を負わせられると思う)


(主人、やり方が汚い!、別の敵に敵を襲わせ、こちらの消耗無しで仕留めるのは英雄にあるまじき戦い方ですよ)


(?、僕は決闘を重んじる騎士でも剣士でもましてや英雄でも無いよ?、自分より攻撃力の有る、頭の悪く無い獣と化かし合いをして肉を獲る狩人だ、卑怯?何それ美味しいの?)


(我の思考では思い付かない、まさに嫌なタイプの敵の典型だな、しかも、我の苦手な隠密を使われてのたまに来る必殺の攻撃、我、とんでもないアサシンを生み出したかも)


(主人ー、ワイは本来1撃必殺の剣士の武器ですよー)


(五月蝿いなー、クロが耳で武器が使える時点で剣の状態よりぬいぐるみ形態の方が利便性の高いんだから諦めろ、


 僕は使える者は何でも使う、立ってる者は師匠でも使う主義だ)


(うわー、ワイの主人、結構目上を敬わないクズだー)


(違うぞ、これは師匠の言葉だ!、師匠曰く、立場に関係無く、近くの者がついでにやれば無駄な量力は減り皆んなに余力が出来る、いざという時に助けにも成れ易いという教えだ)


(何かいい事言ってるみたいですけど、それって頭の回転が速い人は得して遅い人は損しませんか?)


(愚かな、遅いなら速くなればいいだけだ、とっ僕も返され、意地になって思考速度を上げて逆に狩りに師匠を使ったら、次から一緒に狩りに行かなくなって「お前に教える事はもう無い」って言われた)


(アー、ある意味凄い師匠ですね、怒らずに自分の言葉を否定しない所と、やられないように逃げを用意してある所が)


(我は話しに付いていけないのだが)


(父さんは勇者の思考ですから無理だと思います、ワイも集団で居た野ウサギだった時の思考が有ったから理解しましたが、父さんは子供時代から強かったみたいですから分からないと思いますよ)


(さてと、あいつの隠れた場所は分かったからやるか)


(我は無視か!)


(主人、居場所は音で分かりますが、ここからだと岩が邪魔ですから移動し・・・主人、大胆に普通に移動しますねー、ゴブリンの横を当たり前のように歩くんですか?)


(おーい、会話から置いてくなー)


(アー、普通にしてる方が気付かれないのが分かった、コソコソしないで、敵を探しながら移動してます感を出して歩けば全く気にされないみたい、だから緊張するのが馬鹿らしく成っただけだ)


(もういいわ)




 父を無視して、当たり前の様に狙える位置に陣取り、石を思い切り投げた。


 元神殿騎士は石を盾でガードしたが盾の金属音が鳴り響き、ゴブリンがそちら側に一斉に向いた。


 更に石を投げ続けると金属音がするその場所にゴブリンが集まり始めた。


 見たことのある全てのタイプのゴブリンが揃い元神殿騎士長の居る岩を中心にゴブリンが陣形を取り距離を詰め始めた。


 まずは槍のゴブリンが近付き見えないながらも音のする岩付近を槍で突き始めた、たまに金属の擦れた音がする為に止めることなく突き続け、元神殿騎士長は我慢出来ずに反撃を始めた。


 斬り裂かれ消えるゴブリン、姿を見せると一斉に放たれる攻撃を元神殿騎士長は見事に受け弾き避けた。


(ウワー、あれ受けてノーダメージで切り抜けるんだー、僕はズタボロに成ったのになー、クロ、やるぞ!)


 クロには普通の槍を、僕は黒い槍を構えた。


 左からの攻撃を盾で受けようとしたと同時にクロが胸めがけ槍を投げ、その後すぐに僕が同じ場所狙い投げた。



 この槍には投げやすく威力を上げる為に槍の尻に紐の輪が引っかかる溝があり、紐は槍投げ専用の手袋に縫い付けて力が手を離れた後もかかる様にされたものだ、


 これは過去の知識では槍投げの大会などでは反則になるが、狩りではよく使われる簡単に飛距離と威力が上がる方法だ、


 因みに手袋に紐の輪を縫い付けるのは、いちいち握り直すのが面倒だと師匠がやっていた方法だが、僕には専用の手袋はまだ早いと貰えなかったので自分1人で狩りをする様に成ってから見様見真似で作った。



 やはりクロの槍は剣で弾かれたが、僕の槍は躱しきれずに脇に刺さった。


(ヨシ!、傷を負わせた、薬を使ったらまたやるぞ)


(・・・、此奴はもうウィートへの誘導なんか頭に無いな、ここでやるつもりだな)


(主人って、準備段階は慎重派なのにやり始めると止まらないタイプですよね)


(だが、逃げる算段は必ず残してるから慎重派なのは間違いない、ただ逃げるのがギリギリのタイミングなのを止めないのが困る所だがな)




(クソッ、やられた、しかも何だこの槍は、完全に投げる用で先を尖らせた只の棒じゃないか、これだと俺の武器に使えねじゃないか、


 だがどうやって投げた?、あのガキは1人だったはずだ、相棒のあの女冒険者の反応は近くに無かった、獣魔も犬2匹のはずだ、


 誰が槍を投げたんだ、ガキ1人が槍を連続で投げてもあんなタイミングでは飛んで来ないはずだ、


 しかも、なんであのガキはゴブリンに襲われないんだ、俺に石を投げたのもあのガキのはずだ、どうして俺の潜伏を見抜き、ゴブリンに気付かれずに俺に攻撃出来るんだ?、


 しかしこのままだと不味い、ゴブリンの数もこれ以上は捌き切れるか分からん、周りの反応も凄い数だ、どうしてこれ程の数が集まるんだ、


 いや、集められている、罠か、あの槍もあらかじめここに仕掛けられた罠か、そう考えれば納得だ、俺はあのガキの罠にまんまと嵌まったという訳か、


 面白い、ならば必ずここでとどめを刺しに来る、来た時がガキの最後だ、あのガキさえ殺せば後はどうとでもなる、弱ったフリでもしてやれば直ぐに現れるだろう、早く近づいて来い)




(なーんて考えて弱ったフリをしてるんだろうなー)


(アース、止めは心臓が?、頭か?)


(えっ、両方、ここで駄目なら次に移動すればいいだけだし、心臓に当ててクロに心音の停止を確認してもらってから手足を槍で撃ち抜いてから、頭を貫いてとどめを刺す、頭も貫通するまではどんなにゴブリンに囓られても近付かないよ、食べたゴブリンが進化しても元神殿騎士長よりは組み易いし、対処も簡単だからね)


(主人ー、ワイとしてはゴブリンの進化を促す行為は辞めて欲しいのですがー)


(進化したら必ずそいつは倒すから我慢して)


(ヘーイ、分かりましたー)


(彼奴めやっと弱ったフリを辞めて薬で治療したな、ん?、傷にかけただけで飲まんのか?、なるほど傷を塞いでから回復魔法を使えば魔物を呼ぶ回復魔法の残り香は少なくなるのか、勉強になるなー)


(普通は役に立たない知識ですよ、奴の潜伏レベルが異常だから成り立つ行です、隠密では残り香が少しあるだけでただのゴブリンにもアッサリ見つかります、僕なら一気に治して、隠れるより近付く奴を殲滅した方が楽ですね、夜はタロとジロという護衛も居ますし)


(・・・、本当に回復魔法に厳しい世界だな)


(父さんの知識ではやっぱり変みたいですけど、魔族はそうゆう風に人が作り、魔獣はそうなる様に神が力を与えましたから、そうゆうもんだと思って下さい)


(クロー、次いくよー)


(ハイ、では、・・・今!)


(ホイと、ヨシ!次いくよー、どんどんいくよ〜、アッ逃げ出した)


(逃げられましたね、凄い数に追われ囲まれてますけど)


(チッ、根性無しが、逃げずに踏ん張れってんだ)


(あの男、主人並みに逃げ足が速いですね)


(なんか引っかかる言い方だけど、褒め言葉として受け取っとく)


((やっぱ図太い))








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