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38英雄とイリーナの為のご都合力

 数日が過ぎた。


 その間に神殿内の工房の予約日が来て、投擲スキル用の武器に、クロ専用に軽い装備をミスリルを仕入れて色々な種類を時間と材料の限り作った。


 使い勝手が良い物は後で魔獣の素材を集めて、後日に魔装で作るつもりでいる。


 今日まで、元神殿騎士の討伐の報せは入らなかった。




 朝早くに神殿の会議室に呼ばれ、買い占め犯の捕縛と正当な技術を持つ肉屋の出店など経過と元神殿騎士長の発見は村と都市をゴブリンから守る為に戦力を裂かなければならず事実上不可能となったと書かれた報告書を手に会議室に入った。


 会議室の中に居たのは、領主、大神官長、騎士長、兵士長、そして総合ギルド長で神殿騎士は不参加だ。


「会議を始めます、各部署の報告を」


「解体や熟成の技術を持つ者が肉屋が店を再開して、都市区の流通は正常化した」


「神殿区も汚職ギルド職員とギルドメンバーの排除は終わった、ギルドの人員不足はあるがとりあえずは正常に機能し始めた」


「ゴブリンの活発化により村の防衛に騎士や兵士を配置した事で元神殿騎士長の探索する人数は減り発見は更に難しくなってしまいました」


「1つ質問ですが、僕の事は元神殿騎士長の探索に当たった騎士や兵士の皆さんは知っているのですか?」


「あなたは英雄的な事を成し遂げたと皆でいつも話していますよ」


(ハー、奴は音感知を持ってる、奴に兵士達の雑談を聞かれ、アースの事は全部知られていると思って間違いないだろうな)


(僕の事を英雄視しての話してるなら、僕は奴から相当恨まれますし、奴にはもう逃げ場は無い事も兵士の雑談から知られていると思って間違い無さそうですね)


(逃げ場が無い事で、罪をバラされた逆恨みと食料確保の為にライス近くの街道付近に隠れ、行商が再開されたらアースと行商人を襲うつもりだろう、


 あの男の実力なら、都市近くに隠れて居ても見付からないはずだ、人の領域なら奴を倒せる魔獣は加護持ちに討伐されて居ないだろうからな、


 都市近くなら索敵範囲も広いあの男ならアースが外に出れば感知して追って来るだろうな、アースに復讐する為に)


(なら、当初の計画で行けばすぐに倒せなくても取り敢えずは人の領域からは奴を離せられますね)


「領主様、元神殿騎士長の死に賞金は掛けられていますか?」


「まだ発表していませんが、騎士や兵士以外が確認した場合は金貨100枚以上の賞金になると思います、


 まさか倒す気ですか?」


「アースくん、やめなさい!、奴に立ち向かうのは死にに行く様なものです、あの男のレベルとチカラは、加護持ちのパーティー以外ではとても倒せるものではありません」


「分かっています、僕のチカラで倒せるとは思っていませんよ、でも僕としては何時迄も狩りや旅ができないのは困ります、ですから外に出るつもりです、


 まぁ、外で奴の死体を見つけた時に報酬が出るのか知りたかっただけです」


「ゴブリンが大量に居る今は外に出るのは危険です、と言ってハンターで実績のあるアース殿を誰にも止める事は出来ませんが」


「買い占め犯の検挙は完了したと思っていいと思われます、今後は正常化と本神殿騎士長の発見と盗伐に力を置くという事で今回の会議を終了します」


「僕は今後の会議には出ませんからそのつもりでお願いします、僕はハンターとして狩人の仕事に戻ります、次の狩りを終えたら、準備して次の都市に移動します、会うのはこれで最後かもしれませんが頑張って良い都市にして下さい、では失礼します」




 アースが部屋を退室後、


「アース殿はライスに留まらないのですか?」


「そう聞いている」


「ならば何故これ程迄にチカラを貸してくれたのですか?」


「・・・、串焼きを買いに来る常連のお客、つまり、子供の為らしい」


「そして、その子供達を都市の大人が守ったから、だから最後まで付き合ってくれたそうだ」


「アース殿が居なければこの都市は近いうちに国か弾かれていた、つまりは何の助けもない単独都市なる筈だったのだ」


「まさか!、本当ですか?、最近はキャラバンはおろか他の都市の行商人も来ないのはゴブリンの所為では無く、ライスで起きている買い占め行為を我々が取り締まれないからだったのですか」


「そうだ、アース殿に言われたよ、都市を渡り行う取り引きは、商人や狩人の善意が無ければ出来ない程割りに合わない行為だと、悪意で対応されるなら、わざわざ行く必要も寄って行く必要は無い、


 今回のキャラバンが来て食材を都市に売ったのは、アース殿がライスに留まり正常化する様にやってみると言ったのを、アース殿と共に来たキャラバンが他のキャラバンに伝えたからだそうだ、


 後から来て最後通告をしたキャラバンもアース殿が居たから手助けの為に肉を売りに来たそうだ」


「アース殿が既にライスを出て他に行っていれば、協力関係の停止通告のみで物資は降ろさずに引き返していたらしい」


「英雄ですね、ダンジョンマスターとなった冒険者の様な人類の英雄ではなく、幸せと喜びを守る人々の英雄ですね」


「まだ成人したばかりなのに、正規の利益のみで子供の笑顔を為に危険を顧みない、まさに英雄だな」


「取り敢えずは買い占め行為やライスのギルドの正常化は成された、あとは元神殿騎士長の死が確認されれば行商の再開の約束は取り付けられる、あと少しだ頑張ろう」





 僕は会議室を出て、すぐにイリーナと串焼きを販売準備を始めた、


 肉の販売は辞め在庫はハンターギルドに売った、僕の売った肉は現在は正規ルートで都市区に販売されている。


 列が途切れたので販売を辞めて部屋に戻って今後の打ち合わせをした。


「イリーナ、明日で串焼きの販売も辞める、お客さんに伝えて」


「いよいよやるのね」


「準備万端だから安心して、奴を倒すよりもウィート方面に移動させるのが目的だから、期間は結構かかると思う、まぁ、しばらくは帰れないけど心配しないで待っていて」


「どれ位の期間がかかりそう?」


「長くても1ヶ月位かな、早ければ1週間かからずに戻るよ」


「それを過ぎたら?」


「ウィートを抜けて反対の都市に向かう事になったって事だから1年位かかると思ってくれ」


「・・・、1年は頑張って待つ、それでも戻らなければ・・・私、・・・多分、 壊れると思う、心が・・・・」


「分かった、必ず戻る、だから待っていて、それまで都市が無くならない様に守ってね」


「私、作ってもらった魔装を使い更に強く成る、アースくんが戻るまでは都市を守るわ」


(戻るまでは、か、アース、意地でもまだ死ねないな)

(主人、この雌と何か契約してますか?、魔力の糸みたいなのが繋がっていて、それをこの雌が守る様にチューブ状に保護してます、チューブと糸に隙間が有れば父さんの念話は距離があっても繋がりますよ)


「えっ?、距離が有っても繋がるの?」

(離れれば離れるだけ繋がり難くなりそうですが、父さんの念話なら繋がりますね)


「何が繋がるの?」


「えーと、クロが言うには父の念話なら繋がるらしい、距離により繋がり難くはなる様だけど」


(ならば我が常時繋げて繋がりの条件や距離による差を確認するとしよう、嫁もその方が良いだろう)


「「えっ、嫁?」」


(クロに言われて気が付いたが、あの契約に対しての2人の繋がり方は肉親でなければ結婚の成立と同じだ、両想いなんだからアースにイリーナが着いて来れる様なら、結婚の契約も我は許可するぞ)


「いや、それはー」

「アースくんが戻るまでには森へ付いて行ける様に鍛えます」


(我が安全な街の中での鍛え方を、バッチリ念話で教えてやるから頑張るんだぞ)

「はい、お父さん」

「父が許可するなら今後は女性としてみる様にしますよ、


 話しは変わるけど、イリーナ、お父さんと声に出して返事をするのは無し、言っても駄目なら「もう声に出さないから大丈夫」・・・分かった、


 あと、契約も追加契約では無く、契約内容の変更にするからそのつもりで」


 イリーナが森で活動するのに必要なスキルが取得出来なくても、スキルを付与できる様に成ったからどうとでも成るんだが、渡せるチカラにも限りがあるいじょう、自力で取得してもらった方が後々助かるからな。


(父、後で話しが有ります)


(言いたい事は分かってる、たがイリーナにとってアースは、我にとっての妻やアースと同じ、自分より大切な者だ、無くしたら自分も無くなる大切な者だ、かつて我が復讐鬼に成った様にイリーナも壊れるだろう)


(ならばどうしてあんな事を言うんです)


(イリーナを大切なら、死ぬな!、自分が死んだら何て考えずに、未来だけを考えろ、先の事を心配して悩んでも深みにはまるだけだ、我みたいにどん底にいても、イキナリ今みたいに最高の気分になる事も有る)


(分かりました、考え過ぎずに気楽にやります)


(あるじー、ワイも主人が死んだら困りますから頑張りますから、ワイの嫁になりそうな魔獣倒して魔装を作って下さい、ワイにもお裾分けをー)


(五月蝿いから上位の魔装はもう要らない、死にたく無いし)


(そんなー)ワイの下が出来ないなんてー。


(クロ、まぐれは続かないから無理だ)


(ワイ、やっぱり間抜けにもまぐれに当たりに当たり死んだんですか?、主人の実力では無く?)


(だからステータス的に見れば分かるだろう、隠れたチカラなんか無いの、単にお前がドジって自爆した所を運良く倒せただけ)


(ワイ、間抜け?)


((凄いドジで間抜けだったな))


(・・・嘘だー、主人がワイより強かったんだ〜)


((こいつ、意地でも自分のミス認めないつもりだな))


(絶〜対に主人が強かったんだ、そうに決まってる、ワイより強かったんだー、なんか主人にはあるんだー)


(処置無しだな)


(魔獣って、自分より弱い奴に負けるとなんか有るのですかね?)


 同列の魔獣にボロ負けしたら、ワイのイメージも壊れて他の魔装に下に見られる〜、


 それだけは、それだけは何としても防がねば、主人に意地でも奥の手スキルか何かを習得してもらい、言い訳を作る、フフフッ後付けでも構うもんか。


(なんか頭抱えて笑ってる)


(ぬいぐるみのウサギがやるとコントかホラー分かりませんね)


「フフフフフフ、アッハハ、「クロ!五月蝿い」すいません、すいません、すいませーん」


「ウフフ、アースくんと繋がってる」


 明日は死地に行くのに、のほほんとしてるな、このパーティー、まぁ暗いよりは良いか!





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