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27崖っ淵の計画開始とぶっ飛んだ装備

 神殿に着いて、夜なので外で警護している聖騎士に大神官長への取り次ぎを頼んだ。


 神殿の中から神官が出て来て案内してもらい大神官長との会談ができた。


「連絡は以上です、いよいよ後が無くなりました、今回失敗した場合、管理責任者の退任だけでは済みません、いえ、済ませてはくれません、


 それほどに行商人の怒りが大きい様です、一体いつからなのですか?、商人と冒険者とハンターギルドの汚職が始まったのは」




「肉の買い占めは以前からたまに有ったのだ、たが許容範囲の値上げで取り締まれなかった、街に供給されている肉を貯蔵して市場に出さず意図的に値段を高くしていたのが分かったのは最近だ、ただ、以前から交渉先の街の商人の態度が悪いのと行商人が魔物に襲われて荷が焼かれる被害が多く行商人やキャラバンからは苦情は来ていた」


 僕が思っていたより遥か前から状況は悪く、買い渋りや貯蔵庫の容量に合わせた行商人の襲撃までしていたのか、魔物の襲撃、敵に魔物使いが居るのか、森での最大の敵だな。


 今のライスの状況は今回の僕の計画が成功しても失敗しても発表される事になった。


 これで街の人は、今回の犯人達を捕まえない限り、買い占めに関係していた者もそうでは無い者も、ギルドメンバー以外は街からはもう逃げられなくなった事は決定となった。


 問題は失敗したらライスも単独都市になりライスのギルド登録した行商人が他の都市から物資を仕入れて来るしか他の都市の特産を得る方法が無くなった事を意味した。


 つまり食の楽しみは殆ど無くなる事を意味していた。




「アースくん、計画が失敗したらどうするの?」


「成功して出て行くよ、失敗したら出ていけないから」


「えっ、成功するまでやるの?」


「僕がライスに居る間は計画は実行中になるからね、最悪はライスの現状を市民に発表すれば大混乱になるけど勝ち、市民にかなりの被害がでて、領主と長が付く責任者が責任を取らされ、あとは街の買い占めの関係者が周りから締め出され市民に殴り殺されるか奴隷になるだけさ、


 発表前に僕が死ぬか、僕が都市ライスに愛想を尽かさなければ、都市ライスの負けは無くなったよ、


 僕が負けた後に発表したとしても、混乱が起きて沢山の人が死ぬけどずっと国から弾かれたままになる事は無い、つまりは僕が殺されるか都市から消えなければ、悪人だけが死ぬ事になり死んだりライスを出て行ったら悪人を締め出すまで沢山の人が死ぬ事になる」


「今の所のアースくんのライスへの評価は?」


「串焼きを買いに来る常連さんに何かある様なら、見捨てる、助ける価値はない」


「うそ、あの常連達がこの都市の最後の望みなの?」


「僕はああゆう笑顔が見たくてやってるんだ、市民が子供の笑顔より自分やお金を取るなら、こんな都市は滅びるか一度完全に干された方がいい、


 この世界で、外を命がけで交易してる人達の善意がいかに大切か分かるだろ」


「行商をする人達はみんな善意でやってるの?」


「当たり前だろ!、誰がお金の為だけに各都市間の行商は命の危険を冒して交易品を各都市へ運ぶ!、


 善意が無ければやれないよ!、お金の為だけなら村と都市の間だけを馬車無しで回数運べば安全でいい稼ぎになる、


 それだけしかしない行商人は村から嫌われて取引して貰えなくなるけど、でもそれが一番お金にはなる」


「でもそれを行商人が馬車でしたら、初心者冒険者のたまに儲かる運搬の稼ぎが無くなり、ギルド間で喧嘩になるわね」


「因みに、その時の冒険者やハンターがお使いで感じた笑顔を見て行商人になる事も多いと聞いたよ、


 父曰く、”この世界は人には辛い世界だか、善意が在ればそこそこ楽しく優しい世界だ、上手く回ってる世界だな”、だそうですよ」


「私、もっと世界を見て怖いけど他者を感じてみる、少しずつになるけど、見てみる」


「頑張って!」


「うん」



 明日は村の壁の建設に村長と神殿騎士長と神殿騎士が土魔法使いを護り道を作りながら村に向かう事になっている。


 明日の狩りは中止して串焼きと肉の販売を同時にする為の袋などの準備をする事にした、短い時間しかしなかった串焼き販売も日の出から日の入りまで、連日する事を神殿内に来た人達に伝えた。



 早速話しを聞きつけた、内通者の商人ギルドの職員がやって来た。



「行商人がそんなことをしてタダでは済みませんよ」


「私はアースという者です、あなたは誰にどんな理由でその様な事を言っているのか、神像の前で御話して下さい」


職員は神像の前に立ち、僕に指を指し偉そうに言った。


「アースさん、あなたは行商人が小売りを禁じられているのを知らないのですか?、直ちに肉の販売を止めると発表しなさい」


「誰が行商人なのですか?、僕はハンターです、商人ではありません、馬車もありません、何の問題も無いはずです何処から聞いたのですか?、神像の前でハッキリ言って下さい」


「エッ、あの、その」


「神像前で、発言しないのと、嘘は破滅を意味しますよ、お姉さん」


 そう言って睨むと周りの人達にも睨まれて逃げ出した。


 直ぐに聖騎士に捕らわれ審議の椅子行きになった。


「あの阿婆擦れ女と命令した商人ギルドの奴らは、芋づる式に奴隷行きね、またアッサリと1グループが消えたわね、馬鹿なのかしら?」


「今迄は行商人だからそれで上手くいってたんだよ、馬車無しでアイテムボックスだけだと大した量は持てないはずだから、僕とイリーナさんはイレギュラーなんだよ、マジックバックは高価だから普通は幾つも在るなんてありえない事なんだ」


「そうなんだー」

(アースくん、昨日の夜に作っていたこの大量の鞄はそうゆう意味だったの、ぬいぐるみを作る為の裁縫の訓練かと思ってた)


(ぬいぐるみの為にあんなに急ぐわけないだろ、前からコツコツ作ってたけど、今回は時間があまり無いから、服用の素材を使った、皮はまた今度確保する積りで使いきってもう服の替えを作れないから服を破くなよ)


(街中なんだから大丈夫よ、アッ、フラグが立っちゃった)


(イリーナ、着替えに行くぞ、フル装備の魔装を着ろ、僕もそうする、このフラグ折れそうも無い)


 周りで観察している者達を見ながらそう伝え、宿を取りフル装備に替えた。


(アース、あいつらの気配は記憶した、おそらく殺し屋だ、殺気も消せない奴らだが、集団の中から狙われるのは面倒だ、列の整理に聖騎士を頼め、接客対応は必ず列と区切れ、警告の制止を無視したら殺せ、後手に回ると死ぬぞ、今から身体リミッターは無しだ、加減に気を付けろ)



「ねえ、あいつらはそんなに危険な奴らなの?」


「街で襲われたら危険なのは巻き込まれる人達、客を装い殺しに来るから、人混みからやられたらその周りが危険だ、僕らはこの魔装の防具なら魔剣で無ければまったく切れないし、普通の武器だと刺してきても刺さらない思う」


「えっ、この鎧はそんなに性能が良いの?」


「付与が硬化と衝撃吸収と再生、再生は全部の装備に付いてるから強い打撃は通すけど斬撃はおろか刺突も魔剣じゃなければ刺さりもしないと思う、魔装だから魔力を通してる間は、奴らの力と武器だと傷付きもしないと思う」


「あのー、普通の魔装だと付与は1つ、無いのも当たり前なの、これの制作費と材料費はいくら?」


「後で鍛冶を教えてくれた鍛冶屋さんに聞こうかと思ってる」


「今決めない、今すぐ!」


「・・・、普通の魔装製作費は幾らぐらいなの?」


「・・・、魔装一式で、金貨100枚から1000枚、位?、かな、材料費は別で・・・」


「付与が1つでその値段か、「ゴクリ」、なら今回かかる肉の仕入れ代を出来るだけ出して欲しい」


「そんな金額でいいの?、普通は付与が3つ付いたら装備がショボくても付与がショボくても、付与だけで金貨5000枚以上の追加料金が掛かるんだよ、この装備は一流の金属を使った装備でしょ、いったい幾らの価値が有るか分からないわ」


「あと鎧下は再生の他に温度調整と斬撃耐性が付いてる」


「エッ、鎧下の服も?」


「盾と小手、ブーツに帽子、ゴーグルにマスクまで鎧と同じ硬化と衝撃吸収に再生がついてます」


「エッ、エッ、エーー」


「装備としてはマントだけは何にもついていないただのマントだけどそのうち革の素材が狩れたら作るよ」


「そのうちマントまで・・・・、因みに御幾らですか?、出来れば利息無しの借金にしてもらえると助かります、返済できずに流石に借金奴隷には成りたく無いので、出来ればですが」


「エッ、さっき言った支払いでいいよ、残った金属で片手用のウォーハンマーも暇をみて作っとくよ」


「・・・・」




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