2旅立ちと上位魔獣
今回の話の後半に出て来る上位魔獣ですが、本来は滅多に魔族以外は襲いません、今回は後に出て来る奴らを見逃した事である存在に怒られ見限られたのが原因の八つ当たりです。
可哀想ですが、因果応報ですから同情しないで下さい、
僕はアース、ずーっと前の前世の父親である勇者?魔王?が現れ融合した。
なぜか僕の方が父の体を乗っ取り、父の身体は直ぐに元の僕の身体に変わり、15歳になり旅立ちが決まる今までチカラを隠し普通に生活して居た。
あれから父は出て来ず会話していない、でも中に居るのは何となく分かる。
僕は独り言の様に、
「明日、僕は15歳になり村を出て行く事に決まりました、街に向かいます、
街でハンターと商人ギルドに登録して他の街へ旅に出るつもりです。
この辺りには、僕の魔法適性と魔力量が少ない事を知っている知り合いが多いので旅をしながら力を付けたことにしてチカラを小出しして行く予定です、一人旅、少し不安です、
あと、スキルの隠密ですが、発動の仕方がまったく分かりません」
(返答は・・・無し、か)
次の日、お世話になった神官様と狩人の師匠にお礼を言い、村の人達に挨拶して村を出た、村の誰にも見送られなかった。
村を出て人の気配が消え、また独り言の様に、中の父に報告、
「仕方がないか、インベントリを隠してたから、魔力量が少なく大きな獲物や多くの獲物を狩れたとしても、村に運べない狩人だと思われてるもんな、
今迄の獲物もいつもウサギやキジを数羽だったからな、村に猟師は2人まで、それ以上は領主様から高い税がかかる決まりだから、やはり猪か鹿を1人で狩って持ち帰れない狩人は要らないかー、
僕より年寄りの師匠の方がまだマシだからなー、そりゃー次の弟子に期待して僕は村にとっては邪魔だろうな、
街でギルド登録して直ぐにインベントリを使うのは不味いよな、
レベルを上げるまでは荷車でも買ってその辺を誤魔化して行くか、レベルを上げてから登録するか街に着くまでの様子で決めよう、
父との約束だから、父が表に出て会話できるまでは追加されたスキルとインベントリは隠さないと」
(反応も、無し、か)
街を目指しワザと街道を外れ、街道をショートカットの為に森へ入り、採取しながら移動をしていると気配感知で感じる、初めての魔物の接近の感覚があった。
マップで確認すると、何かの動物を2匹の魔物が追いかけ、追いかけられている動物が範囲ギリギリでこちらに向かってターンして来た。
「追い掛けられてる動物が僕の匂いに気付いた?、あれ?、匂いは消しておいた筈・・・背負い袋に付いてる匂いを消し忘れてた」
今更遅いと思ったが背負い袋を外し、一応は魔法で、洗浄、乾燥をした。
「匂い隠しの薬は後だな、
追いかけられてる奴、僕に後ろの魔物をなすり付けるつもりだな、
今から隠れても後ろの魔物には見つかるだろうし、弓はこの森の木が多くて真っ直ぐに来ないから駄目だ、
今度、使い捨て用に大きい石を収納しとこう、今回は剣での戦闘か、周りに人の気配は無し」
腰の片手剣を抜き、心眼による行動予測と神眼も解放、本来は心眼で赤、神眼で金色に目の色がなるが隠蔽で変わらない。
(身体と、魔法の能力全開放、身体強化、風の属性強化、光と影で見え難くして、駄目元の隠密、隠密は駄目か、・・・まだジグザグにだけどこっちに向かって来るな、鼻が良いとやっぱり薬無しだと匂いは隠せないのか、
でも、村の人には物陰に隠れれば見つからなかったから不意打ちはぐらいはできるはず)
こちらに来る動物が見える位置に移動すると、木を避けながら合間をこちらに向かって来る猪と、それを後ろから追いかける狼が見えた。
木の後ろに隠れ、纏っている風を左から右に流し片手剣を右後ろの下にさげて構える。
猪は匂いに釣られ僕の隠れた木の右側を走り抜ける、タイミングを合わせ下からすくい上げる様に首を切り裂いた。
猪はしばらく走り木に激突して止まった。
追っていたのは狼で鑑定では森狼、4位の魔物だ、
しかし瘦せ細り2匹の内1匹は見える位置で倒れ、もう1匹は側でこちらを見て伏せている。
(心眼でも攻撃体制は取っていない、何故だ?)
(アース聞こえるか?)
(聞こえます、この森狼、何で攻撃してこないか分かりますか?)
(こいつらはかなり弱っていてアースに勝つ事も逃げる事も出来ないのが分かっている、
制度は低い様だが魔力感知で魔力量と魔力が分かり、猪を仕留めた手際で強さも分かり、服従の体制だ、
元狩人のお前なら狩猟獣や騎獣としてならティムできる、弱ってる今なら名前を付けて受け入れれば簡単に獣魔に出来るぞ、
因みに2匹とも雄だ、どうする?)
(名前を付けて獣魔にします、倒れてる1匹は助かるかな?)
ゆっくり近づき、ウサギを二羽鳥だし、伏せてる方に「お前はタロ」横たわってる方に「お前はジロ」、2匹は直ぐ受け入れと獣魔になったのが分かった。
2匹の前にウサギを置くと倒れていたジロも何とか起き上がり食べようと噛み付いたが、また倒れた。
「先ずは、ジロの傷を治さないと、聖魔法で治す時に強い痛みは有るけど僕を噛むなよ」
そう言って水魔法で傷周りの汚れを落とし、聖魔法で傷を治した、痛みで噛み付くかも?っと思ったが、痛みにジッと耐えていた。
「痛いだろうがかんばれー、中は治ったからあと少し、良し塞がった、食べて体力を回復するんだぞ」
傷が治り痛みが無くなると、尻尾をブンブン振り、血の付いた口で僕の顔を舐めようとして来た、血生臭い。
僕はジロウの首元を抑え、口の中を水で洗浄、身体を水と火と風の複合生活魔法のクリーンをかけ綺麗にしてから首から手を離し、ジロの好きにさせた、しばらくの間、僕の口や顔を舐め回し、食べ終わったタロに軽く吠えられて舐めるのを辞めて、ウサギを食べ始めた。
タロはウサギを食べ終わって口回りも舌で綺麗に舐めとった状態で、僕の前でお座りをして尻尾を振っている。
タロにも口の中を洗浄、体にクリーンの魔法をかけると尻尾の振りが速くなり、鼻をヒクヒクさせゆっくり顔を近づけて来て、頬っぺたを舐める。
僕が口や鼻や目を舐められるのを嫌がっていたのを見ていて分かってるみたいだ。
その後は腹を見せ、手足を伸ばしたので体を撫で回す、首まで伸ばし撫で終わるまで完全に脱力していた。
食べ終わったジロも同じ様に撫で回して、追加にキジを2羽出し、今度は待てをさせ、タロに先にやり、ジロには少し待たせてからあげた、ジロは大人しく待ち、タロは先に食べ終わってもジロウ餌を取らなかった。
2匹の口の中を水魔法の洗浄をかけ綺麗にしながら、タロウが上、ジロウが下で問題無さそうだと感じた。
因みにこの上下付は父から必ずする様に言われた、
「餌は自分が食べ終わった後に与え2匹に同時にはやるな、
獣魔に餌で上下を付け、愛情は上下の順に平均的にしろ、片寄ると喧嘩になる可能性がある、
後、しばらくは何か良い事をしたら直ぐに撫でて褒めろ、何かあれば報告したりする様になり、勝手に遠くへも行かなくなる」
との事だ、言った後、「付与は駄目そうだが作業に戻る」っと言い、反応が消えてしまった、「ありがたい助言、実行しよう」
タロとジロの体力が回復するまで休憩させ、僕は猪を回収してインベントリで解体した後、周り有った投げやすそうな石や食べられる薬草や木の実や果実を採取して収納してから2匹の元に戻った。
マップを見ると、
(もうすぐ森を抜け平原に出そうだ、水場のある街道の野営地に夕方前には着け・そ・・う・・・?)
何だ?、首の後ろがチリチリして、背中がゾワゾワする、チリチリは何処かに何か隠れて狙ってる感じだが、マップに反応は無い、ゾワゾワは初めてだ、でもヤバイ感じだ。
タロとジロを手で待てをさせ、手の合図で森の中に下がらせる。
(何処だ?、ステータス、戦闘スキル全開放、全強化の風、周りにウサギが多いな、んっ?、大きいウサギ?、こっちに来る?)
(アース、後ろに倒れて転がれ!)その声で僕は後ろに倒れ横に転がり、直ぐ体制を立て直す。
胸に痛みが走り、胸を見ると左胸から肩にかけて切り裂かれていた。
「えっ、なに、心臓を狙われた?」
ウサギには角、いや、頭から黒い片刃の剣が生えていた。
(こいつの角はアースの防御力を上まわる武器の角が有る、攻撃の一瞬だが鑑定して分かったのはこいつは隠密持ちだ、畜生どうやって発動してやがるんだ、こっちは使えんのに!、
更にこいつは水と風の魔法を使い匂いも消せる完璧なアサシンタイプだ、
神眼で常に姿を捕捉していれはやられはしないが、奴め防御力もかなり高い、おそらく毛に特殊な効果がありそうだ、
こちらの武器では毛が無い目ぐらいしか剣は効かないぞ、彼奴、目をやられてもわずかな匂いでこちらを狙い攻撃してこれる、あの敵意だこちらを逃がしはしないだろう、
目を潰しても再生できる生命力もありそうだ、・・・因みに、おまえ何で攻撃される前に居るのが分かったんだ?)
「そんなの分からないよ、後にして、取り敢えず避けながら目を潰す、その後事は目を潰して余裕が出来たら考える、よっと、まず左目をもらったーって、うわっ、着地と同時にこちらに飛んで来る」
心眼の攻撃予測から身体を捻り転がり避けた。
体制を立て直しウサギを探す。
「どこだ?、ヤバイ、見失っちまった、クソゥ!何処にいっ」
飛んで行った方向をよく見ると、木に角が突き刺さりジタバタしているウサギがいた。
「・・・意外とドジだな、此奴は仲間にはならないだろうな、うわっ、認識されたと分かったら凄い殺気だ、
さてと、掴んで、ん?力は弱いな、まずは鑑定、ソードラビット、うわっ、エゲツな、角の攻撃力と毛皮の防御力だなー、攻撃では無いけど水魔法で匂いを消して風で属性強化、やっぱり隠密もカンストしてる。
あのチリチリゾワゾワが無かったら此奴の存在を捉えられず死んでたな、・・・アーー、ヤバかったっと、
さて、此奴をどうやって殺すか、どうやら毛の防御力が高いみたいだ、全身毛だらけだから腹も駄目か、
毛を掻き分けてー、クソッ、中にある細い毛が邪魔で剣では余り傷付かない、
・・・アッ、おいウサギ!、命乞いはするか?、こいつ、更に暴れ出しやがった、更に凄い殺気も出したな、
僕には殺せないと思って強気だな、なら、恨むなよーーっと」
ウサギの尻尾を掴み持ち上げる、こいつ自体の力は強く無い、今からやられる事が分かったのかウサギが殺気が消え震え暴れ出した。
「確かテントやタープ用のが有ったな、
良しこの杭をー、
この杭打ち用の小槌でー、
ケツの、穴に、打ち付けて〜、
あっ、もう許さないから諦めろ、ヨーイショ」
コン、「キュ」
「良し、先が入ったな、せーーの」
ゴン、ゴン、ゴ、ゴスン
「キュー、ギュウ、ギュー、ヴ」
「あっ、抵抗が無くなった、死んだかな?、死んだな、さて、収納して行くか、あれ、木から抜かないと入ら無いのか、
ウサギの体を上下しながら角が刺さってる部分の木を壊せば、まぁ、何とかなるか」
暫し悪戦苦闘してウサギを木から外した。
「凄い、この剣みたいな角、傷1つ付いていない、父と話せたら剣に出来るか聞こう、毛皮も防具にできたらいいなー、
しかし、あのチリチリとゾワゾワは何だったんだろう、父も知らないみたいだし、使いこなせれば凄いけど、今はいーか、タロ、ジロ、こっちに来ていいぞ」
暫し尻尾を振り足元に来たタロとジロを「手の合図に良く反応したな」「偉いぞー」と言いながら褒めながら優しく撫でた、自分の気持ちも2匹を撫でながら気持ちを落ち着かせ野営地を目指し移動した。
☆☆☆
息子、アースのあの感覚はスキルか?、違うなしかし何なのだ?、エキストラスキルなのかすら怪しいな、
レベル10の隠密スキルに反応を示した、ありえない。
レベル10の感知系のスキルの合計が最低20は無いと全く分からないはずなのに、気付き、認識し、対応した、
私ですらアースが認識するまでまるで存在に気が付かなかったのに。
まぁ、便利だからいっかー。
☆☆☆
親子揃って大雑把、チカラが有るのに臆病で、そして嫌われるのを恐れる寂しがりや、だな。
あの子の恩恵を受け、あの子の世界の歪みにより酷く心を傷付けられた2人、
意外とタフなのか?、違うな、過去の境遇を恐れ他者と距離を置き、余り繋がりを持ちたがらない、
あの子は記憶は抹消、1天使からやり直しだが、まぁ何とか、また管理神になれるだろう、
母親の魂は浄化され何もかも真っさらで今はどの世界にいるのかもワシには分からんが、あのチカラ、母親の何かかも知れん、母親も聖女だったらしいからな。
しばらくは観察だな、あの子も厄介な者達を私に託したものだ、
あの勇者、いや魔王か、
奴が怒りと恐怖から、息子に全てのチカラを託したら、この世界は2人の魔力暴走の相乗効果で生物が絶滅していたぞ、
まぁ、1度見捨てた世界だからいいが、もっともあの子はそうならない確信が有ったから導いた様だが、
ハーー。
この世界の亜人があまり彼奴らを怒らせなければ良いが・・・管理神は人嫌いのあいつか、・・・無理だな、
ハーーー。
ソードラビットは先の話しで仲間になる予定です。