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12キャラバンの災難とゴブリンの災難

 僕は襲われていたキャラバンに合流した。



 キャラバン


 キャラバンは全員で戦い馬車と荷物を守る、


 護られるだけの人は誰一人いない、


 都市に商店を持ち、


 馬車を持っている商人が集まった集団、


 買い付けと販売をしながら各都市を周り、


 仕入れ品を各自の商店に運ぶ、


 優秀な商会の従業員の集団、


 の筈なんだけど。



 僕を乗せてすぐにキャラバンは移動を開始した、僕は馬車の中を覗くとケガ人だらけだった。


(商人ギルドの中でも戦闘も商談もエリートの集団が何でこんなにボロボロなんだ?)


(まぁ予想は付くが聞いてみな、予想通りなら凄い連中だな、動けないほど衰弱しているが、見た所、傷が致命傷になっていない)


 御者をしていた人と荷台で傷の手当てをしている達が、言い難そうに話しだした。


 一応だか審議眼を発動させて見た。


「済まないが、販売価格で傷薬やポーションが有ったら買い取りたい、無ければ薬草でもいい」


「有りますよ、はい、傷薬とポーションと薬草です」


「ありがとう、これだけあれば皆んな助かる」と、後ろで治療している男に渡していた。


「本当に助かったよ、連日ゴブリンに襲撃されて、全ての薬を使い切り、森に薬草を採取に行ったが、黒いゴブリンに襲われ採取どころではなくて、


 ウィートに着いたら補充しようとしたら都市は壊滅していて、ゴブリンの獣軍がまだ占拠していて、街の中に何とか薬を得ようと入ったら、皆が傷だらけで帰って来た」


「ウィート周辺の村にも薬を求めて寄ったが、完全に壊滅していた、


 畑はグチャグチャにされ物資は何も確保できず、薬草畑は特に念入りに潰されていた」


「仲間を見捨てないが、キャラバンの心情で今まで頑張ったが、今回は真剣に全滅を覚悟したな」


「だが、君のおかげで生き延び、君の薬のおかげで助かった、君は命の恩人だ、名前を聞いてもいいかな?」


「アースです、そうですか、僕のいた村は壊滅したんですか」


「えっ、君はウィート領に在る村の出身なのか!」


「ええ、僕は神官見習い兼、狩人の弟子として村に居ました、僕は狩りは得意でしたが魔力が少なく、成人して村を出ました、


 ウィートにハンター登録に行ったら壊滅していて、タロとジロが居たので森を隠れながら移動してここまで来ました、


 途中で空腹で倒れた処を女の人に助けられ、何度も黒いゴブリンに襲われましたが協力してこの近くまでこれたのですが、


 僕が戦闘で足にケガをしてしまい動けなくなってしまって、その時の戦闘音を聞きつけて来てくれた狩人の男性に助けてもらいました、


 僕は食料と薬類の入ったマジックバックを渡されて、木の上に上げてもらって、木に偽装の処置をしてもらい、傷が治るまでには戻ると言われ残りました、


 狩人のお兄さんは女の人と、ウィートの情報をライスに伝えるために先に行きました、


 僕は木の上で傷を治るのをまっていたら傷だらけのお兄さんがやって来て、鞄と中の物は僕にあげるよって言って、もう一度偽装してくれて何処かに行ってしまいました、


 あの傷の位置だと、もう助からないかもしれません」


「その人は何で都市に一緒に行かなかったんだ?」


「俺は都市には入れない罪人なんだ、って言われました」


「そうか、


 そいつは罪を償ったんだな、


 君はその承認だその人を忘れるんじゃないぞ」


「はい!」

(審議眼によると嘘は無い、信用出来る人達だなぁ)


(その男のモチーフは、まさか、我か?)


(正解!、父が持つ魔王の地位は、僕と母が死んだから勇者から変わったんだよね、


 この世界で会った感じで、前にどんな状態だったか分かったし、


 その後僕にくれたチカラでどんな目に遭っていたか何となく分かった、


 一緒にこの世界で幸せを感じて行こ)



(ワッハハハハ〜、感じているぞ、今は楽しくてワクワクもする、勇者や魔王では感じられなかった、幸せな気分だ)


(それは良かったよ、父、満足したら消えちゃうの)


(おそらくな、魂はアースから離れ、我と変わらずに対応するスキルだけが残る事になる、


 自分の呼称を我以外に変わったら我は消えたと思え、だが、まだまだ消えんよ、アースが結婚して孫が生まれ大人になるまではいるつもりだ、


 もし、妻が迎えに来たら分からんが)


(そっか)




 キャラバンの馬車の移動は平和そのものだった。


 あのゴブリン達はライスまでの最終、ウィートに向かう最初の襲撃部隊だったみたいだ。


(前回のライス間近であった待ち伏せはゴブリンの意地?憎しみ、はたまた進化種の命令通りに出来なかった焦りか何かで行なったイレギュラーだったみたいだね)


(イヤイヤ、イヤイヤ、違うだろ!、普通アレだけの包囲網を潰され、夜には闇夜で最強に近い獣魔が居て襲えない、昼に見付けたと思ったら返り討ち、


 更にはやっと足取りを捕まえて襲撃したら、指揮した自分が追い詰められて部下を盾に潰してやっとのことで逃げ切り、


 森での小出しの襲撃では、まったく駄目だと分かったからこその巡回の騎士団に見付かる覚悟での、必死の待ち伏せだったと思うぞ)


(確かに今思えば、移動の最中に、色々試しながら潰してたね、


 そっか!、ゴブリンにしてみれば、僕達を追い詰める事が出来ずに考えた、最後の賭けだったのか)



 あのゴブリンにしたら、その賭けすら嘲笑われた感じだろうな、


 予定していた集団で包囲する前に気付かれ、


 1人にはライスにまんまと逃げられ、


 もう1人には追い詰め仕留めたと思ったら、


 自分が死んでいた、


 正に、泣きっ面に蜂だったと思うぞ、


 言ったらアースがゴブリンに同情しそうだから言わ無いが。



「タロ、ジロ、快適だね」(暇だからゴブリン出無いかなー)



 言わ無いが!、アースは敵対者にとって、無自覚な鬼だな!、


 そう言えば、アースに敵認定されてる、ライスの冒険者ギルドのギルドマスター、


 イリーナがアースの指示通りにしていたら、ライスに着いた時には綺麗に片付き、代替わりしてるだろうなー。


 我が子ながら恐ろしいほどクズに対して容赦ないな、


 キャラバンの連中にもしっかり審議眼を使ってチェックしてたし、


 本当!、我の心配を分かってる良い子だ。




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