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問題です。

作者: あまやすずのり

彼女は何をしているでしょうか?

ヒントは「スポーツ」です。

 (くる……っ!)

 思うより早く体は反応していた。

 既に1歩目を踏み出していた私は

 全速力で駆け抜ける。

 ほぼ同時に私の視界に一つの影が映る。

 私を追走するようにスルスルと

 人混みをかき分けながら上がってくる影。

 相変わらず絶妙なタイミングで

 影は目の前で弾み、影を見つめる人々を

 嘲笑うかのように綺麗な光の尾が広がる。

 (ドンピシャっ!)

 心の中で歓喜しながら追いついた影を

 私の元へ収めた瞬間、

 ドンッ!

 背後から激痛に襲われる。

 体のバランスが崩れ前のめりになる。

 私は何事かと焦りながらも、

 冷静にチラリと後方へ視線を流す。

 するとそこには置き去りにしたと思った相手がいた。

 必死の形相には焦りと怒りが読み取れる。

 (反則覚悟で当たったのっ!)

 それはこれ以上私を行かせないための行動。

 その行為は逆の立場である私から見ても

 正しいと思う。

 だが、彼女は優しすぎた。

 私を止めたいならもっと激しく当たらなければ

 私は止まらない。

 その事を教えるために私は倒れる寸前の体の前に、

 脚を出し踏ん張る。

 踏ん張る力を利用し、さらに脚を出し駆ける力に変える。

 (いけるっ!)

 蹌踉めいた体にバランスが戻り

 影をしっかりと扱い前進する。

 だいぶ減速したがまだいける。

 それを証明するかのように

 後方から悔しさが滲む呟きと

 ドサッ、と地面に倒れる音が聞こえた。

 だが振り向いて確認する暇はない。

 なぜなら、

 (あと一人っ!)

 見上げると迫りくる一人の女性の姿。

 大柄な体格で威圧しながら猛烈と距離を詰める。

 だがここで私も怯む訳にはいかない。

 目的の場所まで残る障害は彼女だけ。

 それを今一度理解し心を奮い立たせると

 脚を緩めることなく全速でそれに向かい立つ。

 (判断は一瞬……それで決まるっ!)

 頭の中ですでにプランは決まっていた。

 くると感じた瞬間からこの先までの流れは

 既に体全体に伝わっている。

 迷いはない、勝負。

 私は準備万端の状態で白線を視界の隅に入れる。

 瞬間、相手の女性は不適な笑みを浮かべながら、

 その場に一度留まるとタイミングを計るように、

 中腰の構えからジリジリと距離を縮める。

 それを見た私は逆に相手に詰め寄るように

 全力で前進する。

 そして、その時は訪れる。

 (……いまっ!)

 彼女との間がほぼ無くなった瞬間だった。

 スッ、と静かに彼女の体が沈みこむ。

 私が扱う影に狙いを定め、

 寸分違わぬ絶妙なタイミングで飛び込んでくる。

 しかし、それは予想通りの出来事。

 「なっ!」

 彼女の驚愕に私は内心ほくそ笑む。

 今まさに奪い去られる瞬間、

 私は軽く影を浮かせていた。

 フワリ、と重力から解き放たれた影は

 柔らかな弧を描きながら彼女の体をすり抜ける。

 それに追随するように私も小さく飛び上がる。

 空中で浮いた時、

 彼女の悔しそうな顔が目に映った。

 それはまるでスローモーションの映像のように、

 長く、ゆっくりと私の勝利を確信させた。

 「いえぃっ!」

 彼女を飛び越え着地と同時に

 誰もいなくなった前方に一閃。

 小さな音を立て四角い世界に影は吸い込まれた。

 それと同時に上げた私の歓喜は、

 嵐のように起こった大歓声にかき消える。

 正に轟音、その中で私はまた静かに歩き出す。

 真っ黒に染まった空には光り輝くライトの群れ。

 祝福するかの如き輝きを全身に浴びながら、

 私は人差し指を天高く上げて走る。

 この一瞬一時の喜びを仲間達と分かつために、

 私はまた駆けていた。

お疲れ様でした。

答えは分かったでしょうか?

正解は↓印20個分先となっております。

それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました。

正解は、「サッカー」でした。

正確には

「オフサイドラインからギリギリ抜け出したが、

相手に追いつかれ後ろからチャージをくらい蹌踉めく。

だがなんとか立て直し振り切り、ゴールキーパーと

1対1になる。ペナルティエリアに入りキーパーが

手を使えるエリアでキーパーがボールへと飛び込んだが

すんでのところでキーパーをボールと一緒に飛び越え

無人のゴールへとシュート、点を決め喜ぶ」

でした。

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