7.突然の告白
「あら、来たのね。こっちにいらっしゃい」
「は、はひっ!」
「……くすっ。……緊張しなくていいわよ」
うまく口がまわらず噛んでしまう。……あれっ、いま五行先輩が微笑んだ気がするけど、気のせいかな?
わたしはメイドさんが引いてくれたチェアに腰掛け、新しく用意されたカップに紅茶を注いでくれたメイドさんにお礼の言葉を言うと、緊張した面持ちで五行先輩に向き直る。
……緊張しなくていいって、無理ですよぉ。だって、憧れの先輩と、こんなに近い距離にいるんだもの。
ドクン、ドクンと強く脈打つ心臓の鼓動を意識しながら、どうしたものかと内心でオロオロしていると、五行先輩が口をひらいた。
「清歌さん、まずは謝らせて頂戴。……昨日は驚かせてしまってごめんなさい。びっくりさせてしまったわよね」
「ほえっ!? そ、そんなっ、先輩が謝ることじゃないです! わたしこそ謝らなくちゃいけなくて、あの、その、急に逃げ出したりしてごめんなさい!!」
いきなりそう切り出し、頭を下げて謝ってきた五行先輩に、わたしはあわあわと手を振ると、五行先輩以上に頭を深くさげて謝る。
「……ほら、頭をあげて? ……それでね、失礼だとは思ったけれど、軽く聞いてみたのよ」
あなたのことが気になって、と付け加える五行先輩。
(……わ、わたしのことが!? どういうこと!?)
「清歌さん、あなたいま何か困ってることがあるんじゃないですか?」
「……えっ?」
「あなたの先輩として、私に何か出来ることとか、相談があれば言って頂戴? 私はあなたの力になりたいの」
「そんな、五行先輩にそんなこと……」
ぶんぶんと頭を横にふって遠慮する。わ、わたしの問題に五行先輩を巻き込んじゃ失礼だし、あの五行先輩に頼むなんて……。恥ずかしくて出来ないっ!
突然五行先輩が立ち上がる。そしてわたしの方へとテーブルを回り込んでくる。そして、わたしの目の前で膝をついたかと思うと、そっと両手を伸ばしてわたしの頬に添える。あまりの出来事に、わたしは固まったまま身動ぎひとつできずに五行先輩にされるがままになっていた。
「ちょっと言い方を変えましょうか」
膝立ちで両手をわたしの頬に添えたまま、五行先輩が言う。
「こんな気持ちははじめてなの。私は、清歌さん、あなたの力になりたい。あなたのそばにいたい。あなたの笑顔がみたい」
「…………」
「生徒会の先輩、ではなくて、あなたの先輩としていたら駄目かしら?」