??話 Hide and Kiss
「清歌」
「……え? 姫奏、今読んだ? どこにいるの……むぐっ!!??」
私は、曲がり角の向こうからやってくる清歌と、他の生徒が周りにいないことを確かめてから不意打ちのように清歌を抱き寄せて唇を塞ぐ。
「むー! むー!! ……ふぇ? ふへは??」
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅぅ……」
ぷはぁ
「ちょっ、ちょっ、姫奏ぁ!!??」
「あら、偶然ね」
「これが偶然で済まされるとでもっ!?」
取り乱す清歌を見ていると、なんだかもっといじめたくなってしまうのだけれど、近くに人の気を感じてそっと立てた人差し指を清歌の唇にあてがう。
「しずかに」
「もうっ……」
理由を察したのか、清歌は今のゼロ距離から、一歩二歩と後ろに下がり、生徒会の連絡をしている風に見せて通り過ぎる生徒をやり過ごした。
そして、生徒が曲がり角を曲りしばらくすると……
「姫奏、さすがに廊下のど真ん中でいきなりキスをするのはやめて欲しいの……」
「あら? ここは監視カメラの丁度死角になるところだから見られる心配は無いわよ?」
「そうじゃなくて!」
すっとボケた私の言葉に華麗にツッコミを入れる清歌。
……清歌成分も補充できたし、ちょっと満足だ。
「分かってるわよ。大丈夫」
「絶対わかってないよ! まだ朝よ!? キスの日だからってこれから何回もするつもりでしょう……!」
「分かってるじゃない」
「……やっぱり。……嫌ではないけど、さすがに部屋とか誰にも見つからないところでして欲しいかな」
恥ずかしいから。と小声で付け足された言葉で、私はついつい暴走していまい、この後朝のホームルームが始まる直前まで清歌にキスの嵐を降り注ぐのであった。
*After School*
「誰にも見つからないところが良いって言ったけれど、ここここここも駄目ぇ!!」
「ちゅっ? ちゅっちゅっちゅっ? ちゅぅぅぅ……」
「ひめかぁぁぁ……! ひぁんっ」
その日の放課後、校庭にいた生徒の証言では、どこからともなく時折艶めかしい声が聞こえたという……
キスの日短編。
最終話を過ぎたからと言って、投稿を終えるとは一言も言っていないのです……
(意訳:作者の気分次第)