30. 臨海&林間学校【2日目、3日目】その7
前回10000PVと3000UAを突破いたしました!
ありがとうございます!!
「ついたわ、ここよ」
私は清歌を導きながら山道を登っては降り、最終的に着いた海辺の小さな建物へと入ってゆく。
「ここ、どこですか……?」
「学園の施設の外にあるプライベートビーチのエリアよ」
私は清歌の質問に玄関で浴衣の裾についた砂を払いながら答える。
「プライベートビーチ、ですか? 勝手に入ってしまって良いのでしょうか……」
心配そうに呟く清歌。ここは星花女子学園の施設もある海岸沿いの一帯の別荘地で、私たちがいるこの砂浜も所有者と関係者だけが立ち入れる敷地内にあるのだ。しかし、それだったらなぜ生徒会長極秘資料にこの場所が載っているのか……。
「十年ちょっと前かしらね。その時の生徒会長が建てた建物なのよ。その人がその恋人とえっちする為だけにね……。その後になって極秘資料に載せたらしいわ。隠れてする必要がなくなったらしくて」
「へ、へぇ……、すごいですね~」
「ちなみに天寿の社長さんよ、今の」
ズルッ!!
ベッドルームのある二階に向かう階段の前で清歌が驚きのあまり滑って、危うく転びそうになった。咄嗟に腕を出して支えてあげるも、驚きの方が転びそうになった事実より大きかったらしく、まるで何事もなかったかのようにバッと振りかえってきた。
「しゃ、社長さんって、まさか理事長……伊ヶ崎波奈先生ですか!?」
「ええそうよ? お父様のお仕事の関係でね、ずいぶん昔から知り合いなのよ。それからずいぶんたってこの学園で会長になったときにね、波奈さんの名前を見つけて……驚いて聞いてみたら、なんと大当たりだったの!」
そう。本当に波奈さんの名前を見つけた時は驚いた。小さい頃からの知り合いで、時々お話もする相手の波奈さんが、まさか同級生とまさに私が今、清歌としようとしていることをしてきたなんて。仕事人間でクールで真面目そうに見える人が、そういうことをしていたなんて……。とびっくりしたものだ。でも今の私は人のことを言える立場ではないだろう。
「あ、あの伊ヶ崎先生が……」
「仕方がないのよ、歴代の生徒会長はほとんどがむっつりだったのだから。来年もそのよくわからない伝統が受け継がれそうね、清歌だもの♪」
「もうっ、姫奏ぁ……!」
「ふふっ、可愛いわ、清歌♪」
怒りだす清歌の頭をよしよしと撫でて落ち着かせる。まだ何かを言いたそうにしていたけど、次第に幸せそうな微笑みに変わっていった。
そしてそのままそっとベッドに押し倒す。
私が上、清歌が下。
微かに聞こえる波のさざめき。
私はそっと清歌の浴衣の帯に手をかけると、シュルシュルと解きはじめた。
次回からまた分かれての連載です。
諸事情によりiらんどの更新は行っておりません。
小説家になろうとアルファポリスにてお楽しみ下さい。