26. 臨海&林間学校【2日目、3日目】その3
ずっとやりたいと思っていた、姫奏に膝枕。今まさに、やってあげています! 子供のようにきゅっと抱きついてくる姫奏が可愛く、ゆっくり姫奏の頭を優しく撫でながらそよ風を感じていた。
「あ、見つけた! お~い!」
「ひいっ……」
危うく飛び出しかけた悲鳴を、わたしの膝にいる人のことを考えて咄嗟に飲み込む。幸い小さく身動ぎをしただけで起きなかったみたい。
「何してるの?」
「……ちょっとだけ休んでいるだけです。あなたこそ何をしに来たんですか?」
声の主は理純さん。わたしの大の苦手な人。
いつも、し、下着を見せつけてくる、変態さんですっ……!
行きのバスでの難は逃れましたけど、まさか此処で会うなんて……!
でもわたしは動くわけにはいきません。姫奏が寝ているのだから。
「つれないなぁ……。ふひひ、清歌ちゃぁん、今私がどんなおぱんつを履いているか気にならない? ん?」
「気になりません! ひめ……こほん、先輩が起きてしまうので静かにしていて下さいませんか?」
この言葉に初めて私の膝に誰かがいる、ということに気付いたらしく、ニヤニヤとした表情がカチンと固まった。
「へ、へぇ……。誰なのかな、それ? 先輩ってことは、私たちよりも上の学年ってことだよね」
何故か動揺したように声を震わせながら、どこか緊張した面持ちで近づいてくる。
「…………」
「な、なんですか?」
「ご……」
「ご?」
「ご、ごぎょ、五行先輩……」
プルプルと震え出す理純さん。
と、いつのまに何処からか現れたマノン先輩にが理純さんに向かって、
「諦めーや?」
と言ったかと思うと、ぽんぽんと肩を叩いて同情するように頷いた。
……? 何を諦めるのかしら?
とかと不思議に思っていたら、理純さんが
「ふええええんっ!!」
と泣き出してどこかへ行ってしまいました。
……不思議な人ですね?