《21. お風呂でらぶらぶ》
「ふえええええっ!?」
「ほら、暴れないの。危ないでしょ?」
ちゅっ♪
お姫様抱っこをされた状態にびっくりしたわたしは、宙に浮いた足をバタバタさせて、身をよじって暴れる。
そこを注意されたとおもったら、今度はいきなりのキス。……黙るしかないじゃないですかぁ。
わたしはその体勢のままピタリと固まり、じっと目的地に到着するのを待つ。
こうしてみると……。姫奏、ほんとうに可愛いし、格好いいし。……わたしの王子さま、わたしを永遠に守ってくださ――
「――ふあっ!?」
「あ、ごめんね? 熱かったかしら」
いつのまにかお風呂に着いていたらしく、あやうくお尻をやけどするところでした。
着いたところは、海が見える露天風呂。と言っても、今の時間は真っ暗で景色は何も見えないけど、波のさざめきと星は綺麗に見える。
先輩に浴槽の縁に座るようにして下ろしてもらうと、足から徐々に熱さに慣らしてゆっくりと湯船に浸かる。
先輩はとっくの前から気持ち良さそうに入っていて、すごい……。わたし、熱いのが苦手で……。
と、そんな一面もありつつ、わたしと姫奏は仲良く並んで肩まで浸かり、お互いもたれあいながら、波の音を聞きながら星をみつつ、ゆっくりとした時間を過ごしてゆきました。