17.臨海&林間学校【初日】その5
あのあと海で智恵やマノンを交えて遊んだ後、髪の毛が痛まないように軽くシャワーを浴び、夕御飯を食べた。
そして夜、何故か私が主催することになっていたキャンプファイアが砂浜で行われ、私の音頭のもと、自由に大きな火を囲って生徒たちが思い思いの時間を過ごしていた。
と、この行事を仕組んだ張本人、智恵がやってきたので、軽く頬っぺたをつねって責める。
「ちょっと智恵、聞いてないわよ……」
「ふぇ、ふぇんぱいっ、いたいれすぅ! ……ふぅ。でもありがとうございます、やってくれて」
「……仕事ならやるしかないじゃないの」
「えへへ、だから先輩は頼りになるんです」
「頼る場面が間違っているとしか思えないわ」
まあまあそう言わずに、と私の肩をもみもみしてくる智恵。はぁ、まあいいですわよ。最後の夏なのですし、これくらいのサービス。
肩を揉まれながら、智恵が来たので恥ずかしくなったのか、先程どこかに逃げしまった清歌を探していると、近くの木陰にチラッと見慣れた浴衣の裾が見えた。
「清歌?」
「ふあぁっ!?」
智恵と別れ、浴衣の裾が見えた木に近寄りそっと回り込んで、驚かせるように肩を叩いた。
すると、清歌が驚いて飛び上がり、そのまま固まってしまった。
「……どうして頬っぺたに手を当ててるの?」
「な、な、なんでもないですっ!」
ハッと我に返った清歌が、誤魔化すように手をひらひらと振って、ひきつった笑みを浮かべながら誤魔化してきた。
まあ、それも可愛いから許してしまうのですけどね。