13.臨海&林間学校【初日】その1
臨海&林間学校編に突入です!
今回から、月庭一花さん考案の、河瀬マノンちゃんと、斎藤なめたけさん考案の、理純智良ちゃんが登場します!
八月。
生徒たちに大人気の行事、臨海学校と林間学校を一緒に行う、臨海&臨海学校がある。
わたしは智恵からヘルプを頼まれて参加することにした。どうやら清歌も参加するみたいで、普段学園でできないことを色々したいと思う。
星花の臨海&林間学校の特徴は、とにかく自由なところだ。公立校や大多数の私立校と違って、遠泳やハイキングをすることもなく、ひたすら遊べる時間を過ごせること。宿舎を挟んで海と山が向かい合う地形に位置していて、学園が管理している広大な土地の中にあるので人目を憚らずのびのびと過ごせる。
ただ遊ぶだけだったらどこでもできるから、生徒会主催のイベントが日夜行われ、飽きることなく、むしろ期間である二泊三日では物足りないくらい充実した日を過ごせるのだ。
最後の夜には、花火大会が行われ、盆踊りやキャンプファイアを楽しむことができる。
……この日を境に学園中でカップルが増えるのは周知の事実。
全く、毎年羽目を外しすぎないように見回るのが大変なんですのに。
とまあ、そんなこんなで、今年も参加者が全学年で500名を超える大所帯で、自由にバスに分乗しながら目的地に向かいます。
10台以上あるバスの車両や席は自由。毎年必ずどこか一つのバスにひとりぼっちの生徒が固まる事が多いのだけれど、これが各車両に配置されている生徒会役員の腕のみせどころになる。上手くいけばその車両からカップルが大量に出現しますし、いかなければ帰りも同じようなメンバーが集まった重苦しい車両になるだけ、なのですけど。
……私? 私は生徒会の子達と一緒に乗ろうかしら――あら?
「ひめか……じゃなくて五行先輩! 少しの間だけ、か、か、かくまってくださいぃ!」
清歌が猛ダッシュをしながら、バスに乗ろうとしている私の下に慌てた様子でやってきた。
「どうしたの、清歌さん?」
「いえ、その、あのぉ……」
どう説明したものかとたどたどしく言葉を探している清歌。と、そこへ、
「きーよかちゃーん? どこにいったの~?」
というノリノリの声と共に、コツ、コツ、という足音が近づきいてきた。
「ひっ!」
清歌が私の背中に隠れる。……どうやらあの声の主から逃げているみたいですわね。
ここは先輩らしく、助けてあげないと。
「こっちよ」