表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと夢見しこの百合の花  作者: 五月雨葉月
12/36

11.幸せな時間

 手をぎゅっと握りあって、私たちは私の部屋へともどってきた。

 お互いをみつめては照れて視線を逸らす。


「ひめか……」

「きよか……」


 ちゅっ♪


 キスをして、微笑みあう。

 なんて幸せなひとときなのでしょう。

 私たちは時を忘れ、ずっと幸せに浸っていた。


 コンコンコン。


「お嬢様、ご友人のお食事はどうなさいますか?」


 メイドの声に、ハッとして時計を見ると、もう夜の十時。食事を取るのには少し遅い時間。


 清歌をみると、メイドの言葉に反応してか、くぅ~♪ とお腹が可愛らしく鳴った。


「くすっ♪ ……じゃあ、軽くつまめるサンドイッチを用意して頂戴。私も一緒に食べるわ。飲み物は……そうね。清歌、なにがいい?」

「あ、あの……紅茶がいいです」


 恥ずかしそうに俯く清歌。そんな仕草も愛らしくてたまらない。


「そう。じゃあ、紅茶をティーセットごとお願いね」

「かしこまりました。では――」

「あ、あの!!」


 清歌が突然立ち上がって、メイドがいるはずの扉の方へと勢いよく問いかける。が、口を放した風船のように急に萎んでしまった。


「はい。なんでございましょう」

「あの、そのぉ……。い、イチゴ大福は、ありますか?」

「はい! ございますよ。そちらも一緒にお持ちしますね♪」


 心なしか緩んで聞こえるメイドの声。そして、静かに足音が遠ざかっていった。

 ……分かるわ、とっても分かるわよ。清歌が可愛くて。私もつい口許がゆるんでしまうんですもの。


「はぁ~。緊張しました……」

「あら? どうして?」

「わ、わたしはその……人と話すのが苦手で……。あっ、姫奏先輩は別ですよ?」

「こらっ。姫奏、でしょ?」

「は……う、うん。姫奏」


 あぁ、いとおしい。

 なんて可愛らしいの、この()は。

 私はまたしても抱きついて、キスをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ