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激しい恋には、
「先輩、指導お願いしますん」
「おはよう直井さん」
「よう直井」
「豚饅頭食べよ」
「最近溝口のやつがさ」
「ゆっこ」
「雪、早くお風呂から出なさいな」
「久しぶり」
「そうか、お前はどうよ」
「いいね、我が部も安泰だ」
「俺?まぁまぁよ」
「夕陽丘大学かな」
学年末テスト一週間前の放課後、部活は停止期間に入り、豚饅頭とカミオカ商店へ来ていた。カミオカのばあちゃんがいらっしゃい、と声をかける。
「ゆっこ、今日はゆっこも豚饅頭食べるの?」
「まぁね」
「いつもは食べないのに」
「なんとなく」
「あ、先輩のことで頭がいっぱいでしょ」
「え」
「ゆっこって普段あんま表情変えないのに先輩の話になると急にわかりやすくなるよね」
「‥そう、やっぱ私好きなんだ」
「何が好きなの?」
「わかんない」
「いいねぇ、青いねぇお嬢ちゃん」カミオカのばあちゃんがケラケラと笑う。
「いいね」
「明日告るね、卒業式だし」
「え」
「いや、もう会えないだろうし」
「まぁ、そっか、ゆっこなら大丈夫でしょ」
「適当だなぁ」
「それが私だからさ」
「いいね」
「ふにゃ」




