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センメンキ・ラヴ  作者: プリティーお魚
高校二年生
4/24

ほどほどに、

OHURO。それは私が最も愛する空間。

友達の話を聞いていると風呂にごちゃごちゃ細工をしているようだが、私はそんなことしない。風呂に失礼だ。

夜10時に私は湯に浸かる。父さんの前に入るのはなんか嫌なので父さんはとっとと入らせる。どうしても10時に入れない場合もあるが、次の日大変気分がよろしくなくなるのでなるべく10時に入る。

湯の温度は40度。熱くもなく温くもないこの温度が気持ちいい。

湯に入る前に身体は洗わねばならない。風呂に失礼だ。

洗面器に湯を張り、それを冷えた身体にぶちまけて、私は微笑むのだ。


今日も1日ありがとう。


洗面器か。ふと思った。こいつは私になんとなく似ている。よく分からない。

私は身体をまず洗う。そして髪。その後もう1回身体。立ち上がり、風呂に入る前に身体を捻る。腰がポキッと鳴ると明日の運勢は大吉だ。

湯船には左足から入る。足が湯に当たった瞬間のゾクッとする感じ。これが最高なんだ。そして一気に入り、風呂と自分が一体化する感覚に陥る。浴槽の中で肩のマッサージをするのが日課だ。よく解れる。

20分浸かる。最後の方はフラフラするが、それもまた乙なものだ。そして素早く身体を拭く。下着まだつけない。寝るときだ。

そして風呂に感謝し、脱衣場を出る。


「ゆっこやっぱ変だね」豚饅頭は言う。

「風呂に関しては譲れないものがあるのよ。豚饅頭にとっての豚饅頭みたいな」

「なるほど」

「おい桜庭」

クラスメイトの溝口が豚饅頭を呼ぶ。

「なによ」

豚饅頭はごめん、と言って向こうに行く。と、同時に溝口とよくつるんでいる田中が私の元へやってくる。

「なぁゆっこ」

馴れ馴れしくゆっこと呼ばないで欲しいが幸いなことに私は寛容だ。

「ん?」

「お前、桜庭と仲良いじゃん」

「そうだね」

「あいつさ、今彼氏いたりすんの?」

「いないよ」

「へぇ。じゃ昔は?」

なんだこいつ。

「なんでそんなこと聞くの?」

「いやさ、溝口のやつ、桜庭のこと好きらしくてさ」

「あぁなるほどね」

溝口はクラスの中ではカッコいい方だ。性格は知らないが、なんとなくお似合いかな、と思う。

「な、教えてくれよ」

「いや、でも」

「お前部活の先輩のこと好きだろ」

「は」

は?

「図星か。顔に出てるぞ。俺剣道部じゃん。よく弓道部のこと見えるんだけどさ、お前あの先輩と話してるときだけ表情違うんだよ」

「……まぁ」

「無愛想だと思ってたけど意外と可愛いなお前。恋する乙女ってか」

「うるさいなぁ」何照れてるんだ。

「で、桜庭って彼氏何人いたの?」

「言わないよ」

「つまり一人はいたってことか」

「えっ」

「ほんとお前顔に出るな。うんわかった、一人はいたんだな。ありがとう、またなんかあったら聞くよ」

すまない豚饅頭。今度豚饅頭三個ぐらい奢る。

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