しかし子供っぽくもあり、
記憶があいまいだが、なぜか私は田中に連れられて飲み会に参加し、間違えてお酒を飲んでしまい、帰るのが面倒になって誰かの家にお邪魔する流れになったのだろう。
携帯を開くと母から鬼のようにラインが来ていたため、慌てて返信しようとした。そのとき、
「やっと起きたか、もう昼の12時だぞ」
ガチャ、と足側にあった扉が開き、なんとサムスン君の兄でありサークルの先輩である田村さんが出てきた。
「あら?」
「あらじゃないよまったく。君、危ないところだったんだぞ」
「?」
「話は聞いていたがどこか抜けているんだよなぁ。あのサークルはまずい。うちの大学の中でも悪名高い飲みサーだ。あのままホテルに連れて行かれるところだったんだぞ」
「ホテル?」
田村さんは非常に困った表情をし、後ろを一度振り返った後こう言った。
「つまりあれだ、どこの馬の骨とも知らんやつに性的なアレをされるってわけだ。そこを俺と今トイレでうんこしてるあいつが回収したんだよ」
「???」
何がなんだかよく分からず、呆然としているとトイレを流す音が聞こえ、中から先輩が出てきた。
「よお直井久しぶり」
「はあ!?」
「なんだよ」
「え、なんで先輩が田村さんの家に!?」
「いや、サークルで知り合ってさ。俺も大学違うけど弓道サークル入ってて」
「はぁ…」
「俺も昨日飲み会にいたんだよ」
「はあ!?!?」
「たまたま昨日の夕方に田村と会ってたんだ。そしたらお前がやばいサークルの飲み会行くの見つけて、なんか不安になったから俺が新入生のふりしてお前のこと観察してた」
「まじですか」
「まじです」
「ちなみに飲み会の間僕は一人で外で待機してた。さびしかったんだからな!」田村さんが怒っている。
「案の定べろべろに潰れやがって。路上でも家でも吐くしなんて世話のしがいのある後輩なんだ」
「家でもですか」
「家でもです」
「僕のカバンに君の出し物がかかったんだぞ!」田村さんが怒っている。
「まぁでも田村の家が近くて良かったよ」
「ほんとごめんなさい、申し訳ないことしました」
「まぁほっとくと何するか分からない奴だったしな。いきなり電車で泣き始めたこともあったし」
「やめてくださいよそんな話」
「何その話気になる」田村さんがちょっと機嫌を直した。
「でも直井、高校の時より可愛くなったな」
「え」
「化粧が変わったせいか、すごく大人びた感じだ」
「うへへ」
「もう大学生なんだからしっかりしてくれよ」
「はい、先輩もこんなか弱い乙女のこk」
電話が鳴った。母からだ。そういえば返信しそびれていたのだ。
ついでに昨日のことを思い出したが、「おい、俺の彼女に手を出すなよ」と言ったのは誰だったのか。




