表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

侵入するしかないんだよっ

作者: 神城 瞬夜

まったく。いやになるよ、最近の世の中は……。何せセキュリティが堅いからね。僕のような人たちにはやりにくいったらないよ。

「はぁ、寒いなぁ。早く終わらせたいなぁ」

 そんなことをつぶやきながら、僕はこっそりと一軒家に忍び寄った。

 月が輝くきれいな夜。星たちも満開(?)だ。雲はあるし、都会だからあまり星はみえないけどね。

 それでも、夜の綺麗さは損なわれない。いい夜だねまったく。何でそんな夜に僕はこんなことをしてるんだろうね。

 さてと、周りに人は……いないね。誰かに見られたら大変だ。

 ドアが開いてればラッキー、なんて気持ちでドアノブをガチャガチャやってみたけど、やっぱり鍵がかかってる。

 昔の家はドアがなかったんだよなぁ。鍵もかかってなかっただろうし。そんな時代に生まれていたら楽だったのに。ま、愚痴っても仕方がないね。

 さーて、どうやって忍び込もうかなぁ。

「ま、それが仕事だから仕方がないよね」

 さーて、ドアがダメなら、窓でも調べてみるかな。いや、ドアをピッキングっていう方法もあるね。でも、ピッキングは跡が残るし。やっぱり、窓を調べてこよう。


 窓は開いてなかった。仕方がない。やはりピッキングでいこうかな。もちろん、ピッキングのための道具は常備してある。仕事のためだからね!

 周りに人がいないことを確認してから、僕はドアノブに手をかけた。さあ、実力のみせどころだ。


 ピピピピピピピピピ――ッ!


 ごめん、失敗しました。

「だから最近の世の中は嫌なんだ! セキュリティが堅すぎるんだよ! こっちの身にもなってくれ!」

 それでも警報は鳴り止まない。非常な世の中だね。マズイ。このままじゃ確実に逮捕だ。仕方がないね。逃げる−−だめだ。そんなことしたら金は手に入らない。そうしたら生きていけない。いっそ逮捕されれば生きてはいけるよね。

 ……こんな状態でつかまったら洒落にならないな。

「くそう、とりあえず強行突破だ!」

 僕はドアをぶち破った。ゴメンネ。さてと、今の音は音量的にはそこまででかくないけど、家の中の人は起きてしまっただろう。それにきっと、警察のコンピューターにリンクしている。急がないとね。


 ……さて。さっきの警報でそろそろ警察は出動したかな? これだと残りの仕事がやりにくいなぁ。

 こんな状態でもう一度家(別の家だけどね)に忍び入るなんて頭の悪いことこの上ないけど、それでも僕は侵入しないといけない。仕事だからね。

「ホント、嫌な仕事だよなぁ」

 僕はこの仕事に誇りをもってるけどね。


 さてと、このあたりの家はセキュリティが特に堅いらしいね。仕方がない。窓から入るかね。穴を開けてね。ぼ、僕はドアのピッキングは苦手なんだ。

 まあ、それはともかく。まずいね。何がまずいって、僕が今から忍び寄る家の周りに警察が沢山いるあたりが。

 でも、ここでは退けない。何故か? 繰り返していうけど、コレは仕事だ。そして僕はこんな大変な仕事でもそれなりに誇りをもってるし、好きだからね。

 んー、どうやって警官の目をかいくぐるかなぁ。どっかほかの家に火でも放ったらそっちに注意がいくかなぁ。でもそれだと罪の上塗りだよね。

 仕方がない。普通に突破だ。


 警察官が巡回(?)で僕の目標の家から離れていったところを狙って、僕はすばやく、しかし音を立てずに近寄っていった。ドアの鍵が開いていないかなんて最初から確認しない。目標は窓だ!

「さて、まずは窓に穴をあけて……」

 僕は道具を取り出し、窓に近寄った。


 ピピピピピピピピピ−−ッ!


 窓にまでセキュリティがついてるなんて聞いてないよ! というか、今時ってそんな時代なの!? とにかく早くしないと!


 またしても強行突破になってしまった。僕はこの仕事に向いてないのかもしれない。でもめげない。さて、次の家だ!



「今度は二階の窓からスマートに侵入しよう」

 ブロック塀に足をかけて、二階のベランダに登――うわぁ、足がすべった!


「よし、今度はもう一回ドアにチャレンジ……」

ピピピピピピピピピ――ッ!


「……ドアはやっぱりだめだね。初心に戻って窓にしよう……」

 ピピピピピピピピピ――ッ!



 はぁ、やっとノルマはあと一軒だ。ここらの警官はさぞかし首をひねっていることだろうね。『何でこんなに連続で近くの家にばかり、警官の警備の前で盗みに入るのか』ってね。

 でも、それが僕の仕事なんだ。格好悪いったらないけどね。警報ならしてるし。僕の同僚はうまくやってるけど、僕は下手なほうなんだ。

 それでも、大切な仕事に違いない。なんせ、子供に夢を与える仕事だからね。心の中で小さくそうつぶやいてから、僕は赤に白の毛がついたコートを羽織りなおして、プレゼントの入った白い袋を持ち上げて歩き出した。

 本当、最近のこの業界はきびしいよなぁ。




『えー、次のニュースです。今日の深夜、赤いコートを羽織り、白い袋を持った男が不法侵入者として現行犯逮捕されました。事情聴取する警察官に、男は「僕はサンタクロースだ。仕事のために入った」と繰り返している模様です。ここ数年、聖夜にサンタクロースと名乗る悪質な不法侵入者が相次いでいる模様で、保護者の方々から「サンタクロースのイメージと子供の夢を汚しかねない」という文句の電話が相次ぎ――』


 本当、最近のこの業界は厳しいです。


どうも、バレバレ感満載のこの作品、楽しんでいただけたでしょうか。きっと無理だと思います。次回はがんばります。次回はがんばりますので、何かアドバイスお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最後が、納得の終わり方でした。
[一言] はじめまして(^^)私もコメディーを書いています!勉強の為にいろんな方の作品をと思い、ネットサーフィンしてこの作品が目に止まりました。面白かったです(^^)テンポがよく、オチも楽しかったです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ