二人は勇者。その2
俺と雷は、ぶっ飛ばした見張りを叩き起こし、道案内を頼んだ。
倉庫が密集しているこの場所から、たった一つの倉庫を見つけ出すのは難しいし、時間がかかる。
「まだかー?」
「変なとこに案内したら、またぶっ飛ばす。」
「も、もうすぐっス!暴力はやめてほしいっスよ!」
見張りは俺たちに怯えて(先程脅迫した)いるのか、何か良い奴になった。
◇◆◇
「さっきから見張りと連絡がつかないんだ。」
「何かあったのか?見て来ましょうか?」
(ザワザワザワザワ…………)
「いや、いい。それより……」
リーダーと思われる男がこちらに振り向く。
「この女達をどうするかが先だな。」
「どう……?何をするつもりかしら?」
「うーん……とりあえずっと。」
男は、私、夢、咲の鞄に手を入れ、財布を抜き出した。
「金を貰っとく。俺らにとっちゃ一番大切なもんだからな。」
下っ端と思われる男達がゲラゲラと下品に笑う。
「んー!んーんー!」「むーむーむー!」
夢と咲は必死に叫ぼうとするのだが………
「ん?残念。聞こえねーなー!!」
◇◆◇
「ここっス!この中にいるっスよ!!」
「おー!ありがとうな!助かったよ!」
「さっきはいきなり殴ってごめんな。」
「いーんスよ!気にしてないっス!」
見張りはいい奴だったのだ。
「これも何かの縁だな!握手だ!」
雷が見張りに手を差し出す。
「ええ!そうっスね!」
見張りも雷に手を伸ばす……が、手は届かなかった。
「オラァッ!!」
雷が見張りの頬をグーで殴ったのだ。
見張りは扉を突き破り、倉庫の中へと消えた。
「せめて握手ぐらいはしてやれよ!」
「んー。何か怪しかったから。うん。」




