バンドをするという話。
「優ーっ! クラブ行こーよ!!」
朝から元気な双子の妹、咲に起こされた。
「うーん。行こーか!」
そうして、家から歩いて10分程の学校に着き、部室に入る。
俺たちは、『願えっ!俺たちは無敵!』
というクラブに入っている。
ひどいネーミングだけどそこは気にしない。
「「おーっす!」」
俺たち兄妹は一緒にあいさつした。
「おはよー」「やあやあ!」
と、二人の声がした。
〝おはよー〟と言ったのが、落ち着いた雰囲気を出している女子。
名前は九条 永海。
このクラブのリーダー的存在。
〝やあやあ!〟と言ったのが、いつもテンションが高い女子。
名前は高雪 夢。
確実にクラブの盛り上げ役。
「あれ? あいつまだなの?」
「もうすぐ、来ると思う。」
咲の質問に永海が答える。
「バンッ!」
扉の空く音がした。
「あ、きた。」
ゼェゼェと荒い呼吸の音がした。
「遅れてすんません!!」
と言って入ってきたのは、天町 雷だった。
「いやー! 親のせいだよー! 困るわー!」
と、言い訳を永海にしている。
このクラブの部員(五人)は、全員が凄い家庭に産まれている。
まず、波本兄妹は親が二人とも芸能界で働いている。父が人気歌手で母が人気モデル。
永海は、父母共に、天才プログラマー。
パソコンなどはこいつが一番詳しい。
夢は、高雪グループの娘。
ホテルやお菓子などの大手企業は大体が高雪グループである。(=大金持ち)
雷は、超一流シェフの息子。
父は、世界でも有名な料理人。
と、いう所だ。
「何か依頼来てないのか?」
このクラブは誰かに何かを頼まれない限り、『暇』なのだ。
だから念のため永海に聞いてみた。
「それなんだが、来ている。来週の〝夏休みフェス〟でバンドをして欲しいと依頼があった。」
〝夏休みフェス〟とは、文化祭みたいなものである。
クラスやクラブなどで出し物をするイベントだ。
「バンドねぇ……やってみようか!
みんなはどう?」夢が聞いている。
「俺はいいぜ!!」雷が答えた。
「全然いいよ! 興味あるし!」と、咲が答える。
「もちろんだよ! やるさ!」俺は答えた。
「よし。じゃあ決定だな。楽器はどうする?
あと、練習………」
と、永海が言うと、
「楽器は私が用意しとくよ!!」夢が答えた。
お金持ちはこういうとき頼りになる。
俺は言った。
「練習のことは親父に頼んどくわ。」
「「「じゃあ、夢と優! 任せた!!」」」
こうして、『願え!俺たちは無敵!』
クラブは夏休みフェスに向かって進む。