レストランを手伝うという話。(完)
あれから一週間、今日が手伝い最終日。
この一週間は全く変わりなく過ごしていた。
ここで紹介することもないぐらい静かな毎日だった。
でもそれは、嵐の前の静けさだったのだ…。
「今から言うことをよく聞いてくれ。」雷の父さんは緊張気味だった。
「どうしたんだよ!改まってさ!」雷が聞く。
「今日は客が一組だけ来る。その客は…」
「「「「「客は…………」」」」」全員真剣な表情で雷の父さんを見つめる。
「家の奥さんだ!!あれほど怖い人はいない。」顔を青くして、必死に言ったみたいだ。
「か、母ちゃん!?やっべー!死ぬかも…」雷も顔が心なしか青い。
てか、雷の母さんかよ!!身内じゃん!!
「雷の母さん?嫌なんですか?」一応聞く。
「いや、別に?」「うん。」雷たち親子は言う。何もないんかよ!!ドキッとしただろ!
女子三人は笑っている。面白いか?
「ま、頑張ろうぜー!!」雷の父さん…呑気すぎだろ。
全く嵐じゃなかった!そよ風レベルだった!
「カランカラン」扉の開く音がした。
「おーい、来たわよー!」雷の母さんが来たみたいだ。
「こちらへどうぞ。」と、永海が落ち着いて案内している。様になってるね!!
「こちらお飲み物とメニューです。」と、夢がメニューを手渡す。かっこいい!!
「本日はご来店ありがとうございます。
お料理はお決まりでしょうか。」と、雷の父さんは言った。凄い…かっこいい…
注文を受け取り、雷の父さんは帰って来る。
「日替わりランチ四つだ。頼んだぞ。」
俺と咲は注文を受け取った。数からして、数人で来ているようだ。
日替わりランチは、トマトの冷製パスタ、海鮮サラダとドリンクという内容だ。
「咲!二個ずつだ!頑張ろう!」
それだけ言って、俺は料理に取り掛かった。
料理は楽しい。パスタを茹でるだけでも、幸せな気分になる。食べるのももちろん好きだけど、作るのも同じぐらい好きだ。
はい。完成っと!早いもんだろ?
「咲ー!こっち出来たぞー!」と、言うと、
「いま完成したー!」と、返してきた。
二人で確認して、永海と夢を呼ぶ。
「「任せた!」」と俺と咲が言う。
「「任された!」」と永海と夢が答えた。
二人は料理を持ち、厨房を出て行った。
ドキドキしていると、すぐに永海が帰って来た。「大成功だよ!美味しいってさ!」
ほっとした。凄くほっとした。
最後まで真剣に仕事を出来た。達成感が気持ちいい。
「みんな!よく頑張ってくれたな!
今からお待ちかねの給料だぞ!!」
俺たちみんなに封筒を渡していく。
「開けてみて!!」雷の父さんに言われて、開けてみる。 すると……
「すげー!0が四つあるぜー!」
「きゃー!!」「わおー!!」「すご!!」
はしゃぐみんなが横にいるし、声に出すのはやめておこう。俺は二枚入ってたぜ!!
やったぁーーー!!
俺はその夜興奮で眠れなかったね。
多分、みんな同じだと思う。




