イベント前日の話。
「ミーンミーン」「ジジジジジジ」
セミの声がとてもうるさい時期になった。
声というか、騒音レベル。
そう、今日からは学生の特権期間……
「夏休みだぁーーーっ!!!」
終業式の夜、AM0:00?
俺は、両手を天に向け叫んだ。
「優っ!! 何事っ!?」
俺の部屋の扉を勢いよく開け現れたのは、
超優しくてしっかり者の妹、咲だった。
まぁ、双子なんだけどね。
俺たち、波本兄妹は凄く仲がいい。
一応、自己紹介しておく。
俺は、波本 優。
妹は、波本 咲。
「いやー! 夏休みでテンション上がっちゃったわ! 起こしたか?」
正直申し訳ない気持ちになっていた俺。
夜中だし、当然なのだが…。
「いや? 私も起きてたよ!
あっ!優、叫ぶの二秒早かったよ?」
よかった。二秒早かったのか。まぁいっか。
「え!? マジ? 二秒早かったの!?」
よくねー!!気合い入れて叫んだのに、
夏休みじゃなかったのかよ!かなりショックだわ。
「うん! 私の部屋に電波時計あるし!」
それは正確だなと俺は思う。
「まぁ、いーじゃん!」
「うん。過ぎたことは仕方ない!」
ポジティブにいこう!!心に決めた。
「じゃあ、また明日!!」
「おう!お休みー!!」
こうして、俺たちは新しい世界に行く。