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第五話

アルクが依頼主のマリアと顔合わせを終わらせた後に、夕飯に招かれた。流石に屋敷に住んでるだけあって、豪華な食事を用意されていた。


「・・・・」


「?」


料理を見て黙り混むアルクを見て、マリアは不思議に思い訪ねてみた。


「アルクさん?どうかしましたか?何か変な料理でも、ありますか?」



アルクは、ハッとして心配そうに自分を見ているマリアに答えた。


「いや…違うんだ、何時もトムの酒場とかでしか食事をしないからな…これ程の料理の山は、見た事がないからな」


確かに、何時も食べてる食事は酒場のマスターである、トムの料理だった。それも酒場のメニューなので、華やかな料理はない。



「そうなのですか?では良かったですわ♪遠慮しないで食べて下さいね♪」


「一緒に食べるのか?護衛の依頼を受けた身としては、食事中も外で見張る物だと思うが、まぁ・・・依頼主の命令なら遠慮なくご馳走になる」


流石に、食べ物には勝てないのかアルクは必死にニヤケるのを我慢して、クールな自分を貫いて行く。だが、マリアはアルクが喜んでるのに気がついてるが、ニコニコしながら黙っていた。



「えぇ、遠慮しないで下さいね♪今から娘を呼びますんで、娘が来たら食事にしましょ」

「了解した。・・・む、娘?」


娘と聞いて、アルクは何やらビックリした様子が見られたが、気にする事なくマリアは自分の娘を呼んでいた。


「エリカ!いらっしゃい〜い、食事にするわよ!覚めるから早く来なさい!」


マリアが娘を呼んでるなか、アルクは久しぶりに驚いたと心の中で思っていると、エリカと呼ばれた娘が来ていた。


「は〜い」


「じゃあ、そこに座りなさい。アルクさん紹介しますね、娘のエリカです、いろいろと仲良くしてあげて下さいね♪エリカ挨拶をしなさい」


「はい、お母さん。初めましてエリカ・カトレットです、よろしくお願いします」


「オレは、アルク・ヴルスタインよろしく頼む」


簡単に挨拶をするアルクだった。だが、まだ本当にこの女の娘なのかと心の中で思っていた。


「じゃあ、自己紹介も終わった所で夕食にしましょうか。アルクさんも席に着いて下さいね♪」


言われるままに席に着くアルクだが、いまだに信じられないと心の中で思っている。本当に、往生際が悪い男である。そして食事が進むにつれて慣れて来たのか、マリアやエリカの話しも弾んできた様子でアルクにも質問してきた。


「アルクさんは、冒険者なの?魔法は使えるの?剣を持ってるから、やっぱり剣士なんだよね?」


質問してきたのはエリカの様子だ。この質問はマリアも気になってたのか興味津々に聞いていた。


「そんなに質問されても、いっぺんに答えられない…。まず、オレは冒険者じゃない、トムには世話になってるから依頼を受けた。そして、オレは剣を使うし魔法も使う。まとめれば魔法剣士だな。ちなみに、この武器は剣じゃなくて、刀って言うんだ。」


「そうなんですね、確かに正式にギルドへ依頼をしてませんし。トムさんには、お世話になってるからお願いしましたし。それより、アルクさんは凄いですね、魔法剣士だなんて頼りになりますね。」



ニコッと微笑むマリアを見て、柄にもなく照れてる様子なようだ。これにはエリカも同じ想いでいるのか、お願いするように話した。

「アルクさん、明日ね私に魔法見せてよ♪魔法見てみたい♪ねぇ〜良いでしょ。ねぇ〜良いよね、お母さん」


「そうね、私も見て見たいわぁ〜アルクさんの魔法♪後、剣術も見て見たいわぁ♪」



いきなりの頼みに驚き、心の中で護衛の依頼と関係ないだろ!と思いながらもマリアとエリカを見ると、楽しそうに早く見たいと二人で盛り上がっていた。

アルクは、しょうがないと思いながらも了承した。


「わかったよ、依頼主の頼みだから見せてやるよ。後オレを呼ぶ時はアルクで良い。さん…は付けなくて良い。」


この発言に、マリアは笑顔でうなずいた。そしてエリカも「うん」と少し照れてる様子が見られたが答えていた。



「それより、依頼の話をそろそろ聞かせろ。何から守れば良いんだ?話を聞かないと仕事も出来ない」


この依頼は、少し何かあると考えていた。そして、あの男を食事をしてる時、話してる時と意識をしていた。



「そうですね、仕事の内容を話さないといけませんね。エリカ部屋に戻ってなさい。」


「えぇ?はい…わかったよ、お母さん。アルク明日は魔法見せてね、楽しみにしてるからね」

つまらなそうに、そして寂しそうに答えると自分の部屋に戻って行った。


「あぁ…約束だからな、ちゃんと見せてやるよ」


ニコッ


「エリカの相手も、仕事に加えませんとね」


笑いながらマリアは言っていた。そして真面目な顔をしてアルクに話しかけていた。


「ザハール!貴方も席を外しなさい…」



マリアは執事ザハールに厳しい口調で言い放った。


「・・・かしこまりました・・・では、失礼致します。」


ザハールは、少し表情が変わったが席をはずした。マリアは二人になったのを確認すると話し始める。だが、何かを感じ取ったのか魔法を唱えた。


「サイレント・・・、これで外に声が漏れる事はない…知ってると思うが、オレは殺戮者と呼ばれてる、その事を忘れるなよ…」


「わかっています、トムさんから伺っておりますから。ですがこの依頼は、人に情けをかける人には、任せられません」



『やっぱり楽しくなりそうだ…クックック』心の中で笑っていた。


「アルク・ヴルスタイン…貴方に守って欲しいのは、とある儀式の魔道書です。それをどんな手を使ってでも、アスタロト教団から守り通して欲しいの、例え相手を殺してでもです」



「ほぉ〜、儀式の魔道書ねぇ…何の儀式なんだ? 魔道書は見せてくれないのか?」


アルクは魔道書に興味はないが、儀式の方が気になる様子だ。だがマリアは・・・


「魔道書は見せられませんが、この屋敷にあります。この屋敷を守って頂ければ問題がありません。エリカの事も守って頂きます」


「まぁ〜魔道書とか儀式なんざぁ興味はない、言われた通りに護衛は任せろ、エリカも守ってやる」



アルクは、『相手は遠慮なく殺す』と伝え依頼の内容の説明が終了した。


「えぇ〜アルクさんお願いしますね。では、そろそろ寝ましょ。ザハール!アルクさんを部屋に案内して下さい」



執事のザハールに部屋に案内され、ベットに横になりながら、案外この仕事は楽しめそうだ、と思いながら休んだ。そして物語の歯車は少しずつ絡み始めているのは、まだ誰も知らないのだ。



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