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第四話

ジューク達との戦いから半日が経った夕方にアーカパ村にアルクは到着した。アルクにとっては、予定より遅い到着となり若干だが機嫌が悪い様子だった。


「あぁ〜もぉ!!余計な時間が食ったから予定より遅くなった!毎回毎回負けるくせに絡んで来やがって」



確かに毎回ジューク達に絡まれていては、返り討ちにする。依頼を受けると大体はジューク達に絡まれているのだ、アルクにとってはいい迷惑である。


「遅くなったから…とっとと依頼主の何処に行かないとな、確か村の奥にある屋敷だったな」



アルクが、村の奥を目指して歩いて行くと、大きな屋敷が見えて来た。屋敷はブロックに囲まれ、中央に木で出来た門が見える、その奥に屋敷がある。


「まぁ、門から入って玄関に行くのは…当たり前だよな、じゃあ…失礼しますってね」


門を抜けて玄関を目指して歩いて行く、扉をノックして叫んだ。

いや…ノックと言うより叩いて、叫んでいるのである。勘違いする人は、借金の取り立てと間違えるかもしれない。



ドンドン!!ドンドン!!


「おい!!誰か居ないのか!遅くなって、悪かった!!トム・ハンクスから依頼を受けた者なんだが!」


暫くすると、扉が開いて60歳位の男が出てきた、男は一瞬だか驚いた顔をしたのをアルクは見逃さなかった。



「あまり騒がないで頂きたい、これだから冒険者上がりからの、紹介は反対だったのです、まぁ〜仕方がないですが。」



アルクは、一瞬切り捨てようかと思ったが我慢して、ぎこちなく謝罪した。


「悪かった…マナーが悪いものでね、トムから依頼を受けたアルクだ、アンタがこの屋敷の主か?」


「いえ…私は執事のザハールと申します。先ほどは失礼致しました。お待ちしておりました、アルク殿で宜しかったですかな?」


「ああ、道中に邪魔が入って遅くなった」


アルクは、目の前の男ザハールを見て感じ取っていた。


『このヤローからは、血の匂いがしやがる』

「そうでしたか、では着いて来て頂けますかな?主の所にご案内致します。」


まだザハールの観察を続けてたアルクは、ある結論を出していた。


『血の匂いがする上に、歩き方にもほとんど隙がない、なるほど…オレと同類か、こんな村に何でこんな奴が居るかは、知らないが嫌な予感がする、一応は注意しておくか』


心の中でアルクは思っていたが、心なしか喜んでもいた。そう想いながらも、アルクはザハールの後ろを着いて行き依頼主の何処に向かうのだった。



〈ザハール視点〉



私は、この屋敷で執事をしてるザハールと申します。メイド達と夕食の準備をしていると何やら、ドンドンうるさい様子だった。


『今晩は、トム・ハンクスから依頼を受けた冒険者が来るから、多めに作れと言われているので、忙しいと言うのに誰だ!』


心の中でザハールは思いながらも、玄関に向かって行く。


「あまり騒がないで頂きたい、これだから冒険者上がりからの、紹介は反対だったのです、まぁ〜仕方がないですが。」



『!!・・・この男は殺戮者アルク・ヴルスタイン!!こいつが依頼を受けたのか!面倒な奴が依頼を受けたものだ…、おっと取り乱してはいけないですね』


ザハールは、表情が変わったが直ぐに平常心を保った。だが、気が付かなかったアルクに表情が読まれた事を、そして観察をされている事を。



「いえ…私は執事のザハールと申します。先ほどは失礼致しました。お待ちしておりました、アルク殿で宜しかったですかな?」


アルクが、何か言ってるがあまり聞いていなく、早く主の所に連れて行こうと思いザハールは案内する事にした。


「そうでしたか、では着いて来て頂けますかな?主の所にご案内致します。」



ザハールは、アルクを案内しながら考えていた。殺戮者アルク・ヴルスタインの護衛の中、どのように主を殺し「例の物」を奪うかを。



〈アルク視点〉



ザハールに、案内されながら歩いていると、一の扉の前まで来ていた。ザハールが立ち止まり、アルクに話しかける。


「アルク殿、こちらが主の部屋でございます。」


扉をノックするザハールを黙って見ながら、屋敷を観察していた。


『壺やら、置物やら、絵やらがあるが、どれも高いのか?全く価値がわからねぇ』


「トム・ハンクス殿より、依頼を受けた方をお連れしました。」


「わかりました、ご苦労様ですザハールお通してください、後は仕事に戻ってください」

「かしこまりました、アルク殿こちらにお入りください、主がお待ちです。では、私はこれで失礼します。」


案内されるままに、アルクは扉を開けて中に入る。


「遅くなって、すまない。トムより依頼を受けたアルク・ヴルスタインだ」


「お待ちしておりました。私はこの屋敷の主マリア・カトレットと申します。この度は依頼を受けて頂き、ありがとございます。」



丁寧に頭を下げるマリアを見て、アルクはたじろいでいた。まさか自分に、頭を下げる人が居ると思わなかったからだ。


「いや…ご丁寧に、こちらこそ…ありがとございます。」


釣られて敬語で話す、アルクを見てマリアは小さく笑っていた。


「クスクス♪かしこまらずに、普段通りに話してくださいな、アルクさん。」


「あぁ…わかった。護衛の依頼を受けたんでね、これから暫く世話になる。」


「はい、こちらこそ…よろしくお願いしますね」


アルクは心の中で、今回の依頼は何か一波乱があると、感覚的に感じていた。



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